芸能

大河ドラマ『真田丸』殺陣指導者が明かす「面白みのある剣術」の秘密

『真田丸』の殺陣を担当した中川邦史朗氏

『真田丸』の殺陣を担当した中川邦史朗氏

 2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』は、三谷幸喜脚本らしいコミカルな人物描写も多い一方、平和なホームドラマ路線が主流となっていたその時期の大河では珍しく、策謀や暗殺などの血なまぐさい場面もスリリングに描かれていた。今回からは、『真田丸』の殺陣を担当した中川邦史朗氏にその秘話をうかがう。

 * * *
中川:監督やプロデューサーから最初に言われたのは、「今度の『真田丸』に関しては王道を行きたい。奇をてらった大河ドラマじゃなく、『独眼竜政宗』などのように重厚な『ザ・大河ドラマ』を」ということだったので、僕も自分が幼い頃に見ていた大河ドラマの記憶を思い返しながら殺陣を作りました。

──序盤などは暗殺場面もありました。ああした場面の手(一つ一つの動き)はどのように作られたのでしょう。

中川:場面の雰囲気はちゃんと台本上に書かれているので「三谷さんはこういうことをやりたいんだな」と汲み取って殺陣をつけたつもりです。ただ、放映時間が日曜の夜八時ですから、斬られた時に出る血の量はどれぐらいがいいかなど、そういう相談は現場レベルでやっていましたね。これだと多すぎるかな、でも全然出ないのはちょっとおかしい──とか。

 手自体は奇をてらわず、割とシンプルです。人を殺す時は速くて小さな動きで。それでいて、観ている人にちゃんと伝わるように。そこのさじ加減だけで、その手自体はそんなに難しいことはしていないと思います。

──今、「さじ加減」とあっさり言われましたけど「速くて小さい動きだけど観ている人にちゃんと伝わるように」というのは簡単そうで難しいことにも思えます。

中川:最近の時代劇の立ち回りを観ていると、スピーディで疾走感はあるけれど、休まるところがないんですよね。だから観ている間は面白いんですが、終わると「いま、何をやっていたんだ」「どっちが斬られたんだっけ」と印象に残らないというのが僕の中にありました。
斬られるところ、刺されるところは観ている人に伝わるようにする必要があると思うんです。実際の剣術のリアルなスピードではなく「今、どこをやられました」ということを確実に伝えないと。

──リアクションで伝える、と。

中川:どれだけ速く斬っていても、いつの間にか人が倒れて、血が流れて「ああ、死んだんだ」では僕にとっては、面白味がありません。リアクションで伝える殺陣こそが昔の時代劇であり、「王道」なのではないかという気がしていました。

関連記事

トピックス

橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
フレルスフ大統領夫妻との歓迎式典に出席するため、スフバートル広場に到着された両陛下。民族衣装を着た子供たちから渡された花束を、笑顔で受け取られた(8日)
《戦後80年慰霊の旅》天皇皇后両陛下、7泊8日でモンゴルへ “こんどこそふたりで”…そんな願いが実を結ぶ 歓迎式典では元横綱が揃い踏み
女性セブン
犯行の理由は「〈あいつウザい〉などのメッセージに腹を立てたから」だという
「凛みたいな女はいない。可愛くて仕方ないんだ…」事件3週間前に“両手ナイフ男”が吐露した被害者・伊藤凛さん(26)への“異常な執着心”《ガールズバー店員2人刺殺》
NEWSポストセブン