アメリカに議会でオンライン演説を行ったゼレンスキー氏(時事通信フォト)
「ネット情報に触れていない高齢者や田舎の農村部の住民の中には、プーチンのプロパガンダを信じる人がいます。一方でネットに触れる世代は、SNS遮断への反発が大きい。従来はネットで反政府運動をしていた人々が表現の場を奪われ、ネット以外の場で反戦を訴えるようになっています。
これはソビエト連邦崩壊のときに似ています。当時も言論統制が厳しくなり、通信手段や意見表明の方法を奪われた人々が情報戦からリアルな行動に比重を移し、街頭集会などに参加するようになりました。こうした動きは政府のプロパガンダを信じる層にも、しだいに波及します。政府が規制を強めるほど人々の不満が高まって悪循環となり、最終的にテロや暗殺が起きる可能性が高くなります」
ロシアとウクライナの争いは、「アナログとデジタルの戦い」であると中村さんが続ける。
「デジタルが主流で、豊かな時代となったいま、私たちはアナログな手段の紛争はもう起こらないと考えていました。しかし、そうした考えではアナログな戦争を防げないこともわかった。
しかし、もしロシアがもっとデジタルを重要視していて、原発への直接攻撃ではなく電力会社へのハッキングなど手の込んだことをしていたら、ウクライナはもっと苦戦していたでしょう。伝統的なアナログ思考を持って戦争を始めたことが、ロシアの敗因となるのではないでしょうか」
※女性セブン2022年4月7・14日号