芸能

高田文夫、“ICUの後輩”松尾貴史は「何事にもきっちり計算済み」

緊急入院から復活した松尾貴史について

緊急入院から復活した松尾貴史について

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、緊急入院から復活した松尾貴史についてつづる。

 * * *
 松尾貴史。大阪芸術大学を出ているアートで器用で人をうならせる男。

 松尾が病気をして大変で、最近また仕事をしだしたと聞いたので顔も見たくなり、私のラジオ番組で声を掛けたらすぐに来てくれた。聞けば昨年暮れ、芝居をやっている最中に苦しくなり病院へ行くと「すぐ緊急入院です」と言われてびっくり。ICUに入りCTスキャンを受けたら「肺塞栓症」と診断されたそうな。お芝居『鴎外の怪談』も好評で全国をまわる予定も入っていた。辛い入院生活にもたえている時、一本の電話。なんと『鴎外の怪談』で、紀伊國屋演劇賞の個人賞に選ばれたとか。苦しい闘病中にこれはいいクスリになったろう。演劇人としては一番嬉しいはずだ。

 この賞以外にも私には嬉しいことが。いつも楽しみに見ていた「週刊朝日」の“山藤章二の似顔絵塾”。山藤画伯が“ブラック・アングル”と共に筆をおくと聞き、全国の似顔絵好きはずいぶんガッカリしたろうなと思っていたところへ「塾は続行します。二代目塾長に松尾貴史さんが決まりました」の吉報が届く。今はまたあの人気コーナーが続いている。ここから今まで一体何人のプロのイラストレーターが出ていったことか。

 私の周りではたけしの『新・情報7daysニュースキャスター』は終わるわ、志の輔の『ガッテン!』、古舘伊知郎の『にっぽん人のおなまえ』は終わるわ「似顔絵塾」も、と思っていたところこれはなによりいい知らせ。

「キッチュ」というのは芸名だと分かっていたが、「松尾貴史も芸名」だと言う。あるテレビ番組用に若き日キッチュとつけ、番組が終わったので他に何か名前を。色々きくと芸の世界では母音が「ア」(A)の人が成功すると。曰く「たけし」「タモリ」「さんま」「談志」「三枝」。足していいなら「タカダ」。芸能に関して縁起がいいんだとか。それで付いた「まつお たかし」なのだ。何ごとにもキッチリ計算済みの男。

 1980年代、私が作家をやりながら落語を本気でやっていた頃、山藤章二プロデュースで毎年紀伊國屋ホールで『立川藤志楼vs高田文夫 ひとり時間差落語会』を元祖チケットの取れない落語会としてやっていた。ゲストのキッチュが『朝まで生テレビ!』の全キャラクターを演じて大喝采。大島渚、野坂昭如、田原総一朗……これで一気に世に出た。30年つづいた山藤宗匠の句会「だくだく会」のメンバーで玉置宏やたい平らと一緒によく駄目な句も詠んだ間柄。元気になってよかった。ICUの先輩としてそう思う。

イラスト/佐野文二郎

※週刊ポスト2022年4月8・15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン