スキーの腕前は70歳を過ぎてもなお年々上がるばかり
「ひらり」の瞬間まで人生を存分に楽しむ
2021年10月まで続けた本誌『週刊ポスト』の連載コラム「ジタバタしない〈食う・見る・浸る─いのちの洗濯〉」で、僕は元気な老活スタイルを提案してきた。それらをまとめた新著のタイトルが『ピンピン、ひらり。』。死ぬ間際まで自分らしくピンピンと生きた上で、時期が来たら自分から“ひらり”とあの世へ。「もう満足だよ。グッバイ」と挨拶してみせる境地にありたい。
じつは、「ピンピン」と「ひらり」の間には「老い」や「晩年」がある。これらの単語は人に嫌がられるけれど、晩年ほど自由な状態はない。子育てや家のローンが終わって、「待ってました、晩年!」という心意気で過ごそう。だって人生は楽しまなきゃ意味がない! となると、日帰り温泉に行けるとか、レストランで好きなものを注文できるとか、生きている限りはひとりでも楽しめる体力を保ちたい。僕の場合は、イラクの難民キャンプに行って医療活動を続けたいし、好きなジャズライブにはいつまでも足を運びたい。なお、今でも年間40回ほど通うスキーは、筋トレのおかげか10年前より今のほうが上達してる!
人生は二毛作。「ひらり」の前に、あともうひとつ面白い人生を生きるためには、筋トレで勝負だ。
【プロフィール】
鎌田實(かまた・みのる)/1948年東京生まれ、医師、作家。1988年に諏訪中央病院院長就任、地域住民の健康意識を高める活動に尽力。1991年からは、チェルノブイリ原発事故の被曝患者治療に尽力するなど海外での治療や医薬品支援も推進。小学館新書『ピンピン、ひらり。鎌田式しなやか老活術』が3月31日に発売。
取材・文/山本真紀 撮影/太田真三
※週刊ポスト2022年4月8・15日号