食事に取り入れたいスパイスは?(写真/GettyImages)
「無理なくやせるための近道は、体を温めて脂肪を燃焼させること。脂肪は体温を保持する断熱材の役割も果たしているため、体が冷えるほど脂肪がつきやすくなり、やせにくくなります。つまり、毎日こまめに体を温める食材を摂取し、冷えないようにすることが重要なのです」
スパイスライフアドバイザーの大平美弥さんは、とうがらしが持つ辛み成分の強い保温効果に一票を投じた。
「『カプサイシン』と呼ばれる辛み成分は、交感神経に働きかけ、アドレナリンを分泌させて血流を促します。その効能は強力で、発汗するほど体を温め、脂肪を燃焼させてくれる。血流が改善された結果、肩こりや冷え症が解消されるケースも多い。特に冷えやすい女性は積極的に摂りたい一品です」
2位のしょうがは辛み成分である「ショウガオール」に加え、さまざまな栄養素がバランスよく含まれていることが票を集めた主な理由となった。栄養士でフードライターの藤岡智子さんが言う。
「骨粗しょう症の予防や精神を安定させる役割を持つカルシウムや、体内の余分な塩分を排出する働きのあるカリウムが含まれています。そのまま食べるのはもちろん、すりおろして冷や奴にのせたり、みそ汁に加えたりと普段の食事に取り入れやすい食品であることも推奨ポイントです」
しょうがと同様、5位と11位にランクインした「めかぶ」や「とろろ昆布」にも、使い勝手のよさを称賛する声が多く上がった。
「これら海藻類はみそ汁やスープ、酢の物など普段の食卓に一品足しやすい優れたダイエット食品。海藻に含まれるネバネバ成分の『フコイダン』は糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える働きや、肥満の原因にもなる余分なコレステロールを排出したり、腸内環境を整えて便秘を解消したりする効果があります。
特にめかぶは、海藻類のなかでもカルシウムやマグネシウムが豊富で、ミネラル補給にも最適です」(管理栄養士の金丸絵里加さん)
たんぱく質なら植物性か豚肉
やせやすい体を作るうえで体を温めることと同じくらい専門家たちが重要視しているのはたんぱく質の摂取だ。
「脂肪を減らすうえで不可欠なのは、筋肉をつけて代謝を上げること。そのためには運動をするだけではなく、筋肉のもととなるたんぱく質をしっかり摂る必要があります」(佐々木さん)
前出の前川さんが推奨するのはたんぱく質のなかでも動物性と植物性のものをバランスよく摂取すること。
「肥満や糖尿病で来院する人の食事内容を見直すと、そのほとんどが過剰に糖質を摂っています。糖質制限は非常に有効ですが、糖質を摂らないぶん、たんぱく質を摂取するために肉食に偏る人が多い。しかし肉には脂質も多いため、悪玉コレステロール値が上昇するケースもあります。実際にダイエットに成功した患者の多くは糖質を減らし、そのぶん植物性たんぱく質を足す食事を実践していました」
豆腐やおからパウダーなどさまざまな植物性たんぱく質がランクインしたが、最も票を集めたのは4位の「オートミール」だった。オーツ麦を原材料とし、食後血糖値が上昇しにくい「低GI食品」として注目を集めている。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんは炭水化物をオートミールに置き換えることで太りにくい体を手に入れたという。