■立川こはるの6選
●入門者向け
『権助魚』
【内容】お妾さんのところへ行くアリバイ工作として、旦那が奉公人の権助に「川で魚捕りをしたことにして、魚屋で魚を買っておかみさんに渡しなさい」と言いつけたが、買ってきた魚は……。演者ごとに違いが楽しめる滑稽噺。
『大工調べ』
【内容】家賃のかたに道具箱を大家に取られた部下の職人のため、大工の棟梁が、大家に話をつけに訪れる。初めは下手に出ていた棟梁だが、融通の利かない大家に切れ、文句をまくしたてるという筋書き。演者も観客も楽しめる江戸っ子らしい演目。
『文違い』
【内容】好きな男から「目の薬代をくれ」と頼まれた新宿のお女郎が、客の男からお金をせびり、本命に渡す。ところが、本命が落とした手紙から、自分も騙されていたと知る。そこに、お女郎に騙された男と、騙されたと知らない男たちが乱入して大騒ぎに。
●通好み
『お直し』
【内容】「吉原のなかでも店を出すのにいい場所と悪い場所がありまして、独立した主人公夫婦が開いたのは、吉原でも最下層の『羅生門河岸』という場所。2人の悲惨さが浮き彫りになります」(こはる・以下同)。家の前で夫婦げんかする横を、酔っ払いが「いちゃいちゃしてんな!」と、冷やかすという結末。
『小猿七之助』
【内容】とある人気芸者が、七之助という名の船頭に恋をした。告白しようとしたとき、七之助の秘密を知ることになる。「口封じしようとする七之助と、口説く芸者。いい男といい女のやりとりが美しい、歌舞伎の世界を思わせるいい噺です」。
『宿屋の仇討ち』
【内容】3人連れの江戸っ子が、旅先で浮かれて騒いでいると、眠りを妨げられた隣の部屋の侍が激怒して、無実の罪をでっち上げ「明朝、敵討ちをしてやるから縛っておけ」と宿屋に命じる。「馬鹿な男子がわいわい騒ぐ系は、私も得意。これもやっていて楽しい噺です」。
【DATA】
立川こはる
生年月日…1982年10月7日
出身地…東京都港区
入門…2006年3月、前座:2006年10月、二ツ目:2012年6月
師匠…立川談春
出囃子…不思議なポケット
趣味・特技…野草採集と料理、裁縫
公演情報…「立川こはる独演会」4月21日(木曜)、22日(金曜)新宿文化センターにて。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2022年4月21日号