芸能

立川こはるが推す“メンヘラとクズの落語”「200年前からやっていることは同じ」

立川こはる

人気女性落語家の立川こはる

 女性落語家の活躍が当たり前になってきた昨今。立川こはるも、そんな人気女性落語家の1人だ。立川こはるが所属する「落語立川流」は、家元の故・立川談志が落語協会を脱退して設立した一門。落語協会、落語芸術協会に属していない噺家は、寄席の定席に立つことができない。

「両協会の前座さんは、毎日寄席の楽屋で下働きをしながら高座に立てますが、立川流の場合はそれがないので、自力で落語を披露する場所を見つけなければいけない。そのための自己プロデュースの教育はされました。いま思えば、独特な育てられ方をしましたね」と、立川こはるは淡々と語る。

 落語家への憧れを抱きつつ大学で生物学の研究をしているとき、師匠となる立川談春の独演会を見て、人生が決まった。

「何百人ものお客さんが息をのむような、空間を支配する力がありました。いままでは落語を聴いて『ああ笑った』で終わりでしたが、師匠の噺は、聴き終わってどっと疲れが出た(笑い)。どうしたらこんな落語ができるんだろうと興味を持ち、弟子になりたいと思いました」(こはる・以下同)

 2006年、大学院に進んで1年ほどで退学し、立川一門初の女性入門者となった。修業時代の有名なエピソードがある。

「入門から1年ほどして家元に呼ばれ、『お前、女だったのか?』と。しばらく気づかなかったようです(笑い)」

 その彼女におすすめの落語を紹介してもらった。彼女が推すのは、自身が聴くのもやるのも好きな演目だ。

「『権助魚』は、お使いを命じられた奉公人が間違ったものを買ってくるというだけの、15分ほどの噺ですが、演者によって演出が全然違う。春風亭昇太師匠の噺なんて“そんなに変えるのか!”と驚くぐらいです。耳にすることが多い噺なので、聞き比べてもらうと楽しいですよ」

 聴いていてスカッとするのが「大工調べ」だ。

「大工の棟梁が『何をしやがるんでい、この野郎! 大家といえば親も同然、店子といえば子も同然……』と、延々と啖呵を切るシーンは、意味がわからなくても音として気持ちがいい。立川一門もよくやる演目です」

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン