立川こはる

2016年から独演会を行っている北海道釧路市の阿寒湖にて(ここ2年は開催なし)

 一方、「文違い」は、主人公のお女郎が本命の男に貢ぐためにほかの男から金を巻き上げるも、本命にもまた別の女がいたという、騙し騙され噺。

「2時間ドラマを40分で聴けます(笑い)。しゃべっているのを聴いているだけで映画のように映像が広がり、『いい話聴いた』という気分になります」

 江戸時代の世俗的な背景も見えてくるのが、「お直し」「小猿七之助」だ。

「『お直し』は、学生の頃から好きな噺です。吉原の花魁が従業員といい仲になり、夫婦となって独立するのですが、旦那は働かず、女房に客を取らせながら、やきもちがすごい、どうしようもない男。いまでいう“メンヘラ(精神的に不安定な様子)とクズ”がお互いに離れられない噺です。家元が『落語とは業の肯定だ』と言っていましたが、200年以上も昔から人間はやっていることが同じだなと思うと、気が楽になります(笑い)。

 昔の吉原では、線香1本燃え尽きるまでがサービスタイム。延長の場合は、『お直しだよ』と言ってもう1本線香を立てる。タイトルを見れば、吉原の噺だとわかるわけです」

「小猿七之助」では船頭が出てくるが、当時、船頭はイケメンをそろえており、歌舞伎役者に次ぐ人気だったそう。

「談志、談春が続けてきた噺で、いかに“完コピ”するかが大切な演目です。難しくてなかなか頻繁には演じられない噺なので『小猿をやる』というと、通のお客さんも緊張する。私もまだ2回しかやっていません」

 彼女の落語へのアプローチは独特だ。

「落語はいまだに男社会。女流が高座に上がると席を立つお客さんもいます。それでも、いまの落語界が楽しいと思っているので、現状を変えたいとは思いません。これまでも古典を変えずにそのままやり続けていますし、今後もそれを貫くでしょうね」

 落語を聴く楽しさは?

「テレビや配信もいいですが、やっぱり生で聴くのがいちばんです。画面越しで見るのとは受け取り方が違うし、演者とお客さんとの一体感もある。機会があったら、一度会場にお運びいただきたいですね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

安達祐実と元夫でカメラマンの桑島智輝氏
《ばっちりメイクで元夫のカメラマンと…》安達祐実が新恋人とのデート前日に訪れた「2人きりのランチ」“ビジュ爆デニムコーデ”の親密距離感
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《安達祐実の新恋人》「半同棲カレ」はNHKの敏腕プロデューサー「ノリに乗ってる茶髪クリエイターの一人」関係者が明かした“出会いのきっかけ”
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《“奇跡の40代”安達祐実に半同棲の新パートナー》離婚から2年、長男と暮らす自宅から愛車でカレを勤務先に送迎…「手をフリフリ」の熱愛生活
NEWSポストセブン
明治、大正、昭和とこの国が大きく様変わりする時代を生きた香淳皇后(写真/共同通信社)
『香淳皇后実録』に見当たらない“皇太子時代の上皇と美智子さまの結婚に反対”に関する記述 「あえて削除したと見えても仕方がない」の指摘、美智子さまに宮内庁が配慮か
週刊ポスト
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン