充電設備じゃスタンドは食えないよ
筆者の生まれ故郷も負けず劣らず関東の田舎だったのでよくわかる。1970年代、幼少のころは「トイレ貸してください」と何度か大人の人が来た。昔は当たり前のように案内したが、さすがに都会も田舎も関係なく、現代ではおいそれと赤の他人を家には入れないだろう。それはともかく、日本政府(菅義偉内閣)は2021年の衆議院本会議の施政方針演説で「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」と表明した。それが本当ならあと10年ちょっとでガソリン・ディーゼルの新車は(もちろんHV・PHVも、理由は後述)順次、消えることとなる。外に出てスタンドの店主にも話を聞く。
「充電設備じゃ食えないよ、いまだってカツカツなのに」
レギュラーガソリンは170円後半、補助金の効果はいまのところない様子。
「いろいろあるからね、補助金出たから下がるわけじゃないんだ。複雑なんだよ」
本旨ではないのでここまでとするが、充電設備の計画はあるか。BEVやPHVを販売するディーラーの多くは充電設備を拡充している。
「ないよ。全額補助してくれたって嫌だね。あっても電気じゃ単価が安くて儲からない。30分とか充電なんて回転率も悪すぎる」
バッテリーにもよるが急速充電でも30分から40分はかかる。家庭用コンセントなら10時間くらいだろうか(設備、車種にもよる)、BEVについてとにかく言及されるのが、この充電時間の長さである。
「まあ、ガソリン給油するのと同じ5分とか10分で充電完了になるくらい技術が進めばいいけど、俺が現役のうちにそうなるかね」
BEVとは違うがFCV(水素で走る燃料電池車・FCEVとも)なら数分で済むがどうか。
「水素ステーションにする金なんかないよ」
笑われてしまった。確かに水素ステーションなんて都心ですらレア、費用も数億円は掛かる。そもそもFCV自体が将来的にはともかく、現状は相当なレアキャラだろう。
別の日、同じく関東近郊の中古自動車店のオーナー(個人経営)に話を聞く。
「リーフ(日産のBEV車)を引き取ったことはあったけど、うちでは手に負えないから業販に流しちゃったよ」