2020年12月、大雪により関越自動車道上り線塩沢石打インター手前で立ち往生した車両の列。左は除雪車(時事通信フォト)

2020年12月、大雪により関越自動車道上り線塩沢石打インター手前で立ち往生した車両の列。左は除雪車(時事通信フォト)

 2021年の乗用車販売台数は239万9862台、そのうちBEVの販売台数は2万1139台と100分の1もない。ましてその2万台のうち日産が約1万台、あとはテスラを始めとする外国車がほとんどである。後発のトヨタやホンダは約700台という現状だ。

「とにかく充電する場所が少ないからね。この辺は砂利駐も多いからさ、そんなところに充電器はなかなか置いてないよね、まして200Vだろう?」

 都市部のマンションや施設の一部にはBEV用の200V充電設備が導入され始めているが、今でもこの地域にかぎらず都市部以外は砂利駐、いわゆる砂利を敷いただけの駐車場や空き地を利用したロープを張っただけ、舗装しただけの青空駐車場も多い。

「マンションや団地だってこの辺じゃ充電設備なんて少ないよ。東京じゃ増えてるんだろうけど、車を一番使うのは田舎だからね、距離も乗るし」

 充電設備を設置するとなると「誰が負担するか」という問題が発生する。補助金で対処できるはずなのだが、ごく一部のBEVユーザーのために設置するとなると地権者はもちろん管理組合、全住民の理解を得るのはなかなか難しい現実がある。

「高速のサービスエリアと、あとはショッピングモール、ディーラーなら充電設備はあるけど、まだまだだね。個人的には距離がとにかく不安だな」

 距離の問題は技術の進歩と普及率が解決するのだろうが、前述のリーフでフル充電した際の可走行距離は400km(試験走行時)、十分じゃないかと思う人は都会の人か至便な場所に住む人だろう、北海道はもちろん雪国や山間部の住人もBEVで、というのは酷な話、暖房を使えば先の可走行距離は当たり前だが縮む。2020年12月、新潟県の関越道上り線で2000台以上が巻き込まれた立ち往生の大騒動は記憶に新しいが、BEVの場合ガソリンのように持ってきてすぐ給油、とはいかない。単独のガス欠ならぬ「電欠」もそうだろう。

いまの40代から上はガソリンエンジン車で逃げ切りでしょう

「まあ国が決めたことだし、何十年後とかには全部電気(自動車)になるんだろうけど、俺はそのころ生きてないだろうし、生きてる間は普通にガソリンエンジンの中古車売るよ」

 非常に正直な意見で、先のガソリンスタンドのオーナーも「俺の代で終わりだから、このまま灯油とガソリン売るよ」と言っていた。石油や天然ガス、石炭などの化石燃料の廃止および長期契約禁止は各国、各地域によりばらつきがあるがおおよそ2040年から2049年ごろを予定している。都心の高齢者サークルで聞いても同様の回答だった。

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