検証する必要があるのは、峯村氏が安倍氏から依頼されたのかどうかだ。本誌が取材を申し込むと峯村氏は「回答できない」としながら、経緯については投稿サイト「note」に載せたと伝えてきた。安倍氏とのやりとりがこう書かれている。
〈かねがね政府高官らから相談を受けることがあり、安倍氏にも外交・安全保障について議員会館で定期的にレクチャーをさせていただいていました。安倍氏が首相特使としてマレーシアに向かう前日の3月9日も、ロシアによるウクライナ侵攻など最近の国際情勢について説明をしていました。
その際、安倍氏から「先ほど週刊ダイヤモンドから取材を受けた。ニュークリアシェアリング(核兵器の共有)についてのインタビューを受けたのだが、酷い事実誤認に基づく質問があり、誤報になることを心配している」と相談を受けました〉
そして安倍氏からインタビューした記者の名刺を見せられたと書く。
〈安倍氏からは「明日朝から海外出張するので、ニュークリアシェアリングの部分のファクトチェックをしてもらえるとありがたい」と言われました。〉
依頼されたというのだ。元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏が語る。
「一国の権力者だった安倍さんに取材とは無関係でレクチャーして、他社のゲラの確認まで引き受けるということは権力との一体化と言われても仕方ない。安倍さんの代理人になって喧嘩しますよって話だから、メディアの人間として失格と言われかねない」
※週刊ポスト2022年4月29日号