東海林:(妻の中村)玉緒さんもよく耐えたわね。
前田:勝新さんが何か騒動を起こすたびに、玉緒さんから自宅に電話が来たよ。「番組でどんなこと言うつもりでっか? あれでもウチの旦那ですから頼みますわ」って(笑)。
東海林:忠ちゃん、芸能人に「助けてください」ってよく頼まれたでしょ。
前田:これが難しいんだよ。男女の問題だったら、どっちかを贔屓しちゃいけない。5年くらい付き合っていた梅宮アンナと羽賀研二が別れる時、アンナに独占インタビューしたの。
東海林:芸能レポーターって、味方につけたくなるのよね。いろいろ言われるから(笑)。
前田:何度も破局の噂があったから「本当ですか?」と聞いたら、「別れます。嘘は言いません」って。数年後、羽賀が別の人と結婚した時、「ハワイで挙式するので前田さん来てください」と頼まれちゃってさ。取材だから行ったよ。そしたら、アンナの関係者に「どっちの味方なのよ!」って怒られた(笑)。
東海林:この仕事は、味方とか敵とかじゃないのよね。
前田:こんなこともあったなあ。長渕剛がテレビドラマに主演している時、共演女優の清水美砂との朝帰りを週刊誌に撮られて、各局がインタビューの申し込みをした。そしたら、なぜか長渕が「前田忠明ならいい」と指名してきて。たしかほとんどの局でそのVTRを放送したけどね。
(第3回につづく)
【プロフィール】
東海林のり子(しょうじ・のりこ)/1934年生まれ。事件・芸能レポーター。立教大学卒業後、1957年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。1970年退社後、『3時のあなた』『おはよう!ナイスデイ』(ともにフジテレビ系)などの番組でレポーターとして活躍。
前田忠明(まえだ・ただあき)/1941年生まれ。芸能レポーター。 明治大学卒業後、1970年光文社「女性自身」の記者として入社。1980年フジテレビと専属契約を結び、『おはよう!ナイスデイ』『TIME:3 タイムスリー』(ともにフジテレビ系)などの番組でレポーターとして活躍。
【聞き手・構成】
岡野誠(おかの・まこと)/1978年生まれ。ライター。著書に『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記 1979-2018』(青弓社)がある。執筆記事〈検証 松木安太郎氏「いいボールだ!」は本当にいいボールか?〉が第26回『編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞』デジタル賞に。
※週刊ポスト2022年4月29日号