芸能

東海林のり子と前田忠明が語る勝新太郎の逸話「あんな面白い被告はいなかった」

勝新太郎の逸話を語る芸能レポーター・東海林のり子氏

勝新太郎の逸話を語る芸能レポーター・東海林のり子氏

 梨元勝氏(享年65)が2010年に死去し、井上公造氏(65)が今年3月に引退するなど、芸能レポーターという職業は、もはや化石となりつつある。しかし、現場主義を貫く彼・彼女らがいたからこそ伝わるものもあった。ベテラン芸能レポーターの東海林のり子氏(87)と前田忠明氏(80)が、かつての大物芸能人らとのエピソードを明かした。【全4回の第2回。第1回から読む

 * * *
前田:昔は今じゃ考えられないことがたくさんあったね。タレントにインタビューして優しい言葉でも掛けると、帰りに本人が「前田さん、お車代持っていってよ」と分厚い封筒を渡してくるんだよ。30万とか50万くらい包んでたんじゃない? 「それは受け取れません」って断わったよ。

東海林:誰が渡したの?

前田:もう時効だから言うけど、美空ひばりさんやフランク永井さん、島倉千代子さんとか昔気質の歌手だね。

東海林:勝新さん(勝新太郎)も豪快だったわね。『俺・勝新太郎』(廣済堂出版)という本を出した時、数十人いるマスコミに「サインしてやるから」ってペンを走らせていたの。書き終わると、「今日は気持ちいいなあ。さあ、みんなで銀座に飲みに行こう」って(笑)。

前田:「金はないけど大丈夫だ」って言ってたな。

東海林:マネージャーが必死に「それはできません!」って止めてた。

前田:でも、本当に金がなくても問題なかったみたい。店側も、いずれ払ってくれると思っていたんじゃない?(映画の撮影後などに)何十人でも連れて行ってたんだから。

東海林:勝新さんの麻薬・大麻取締法違反(密輸出)の裁判をずっと傍聴していたけど、あんな面白い被告はいなかった。まず、テンガロンハットを被って堂々と入ってくるの。公判中、検察に問い詰められると、勝新さんは傍聴席を見て「そうなのか?」とオーバーリアクションを取る。弁護士も勝新さんに影響されて、私たちに向かって身振り手振りを交えながら主張するの。

前田:映画だな、そりゃ。

東海林:裁判長も最初は「正面を向いてください」と穏やかに注意するんだけど、だんだん「こっちを向きなさい!」と怒り始めてくるの。

前田:勝新さんが「パンツにコカイン」で捕まった時、ハワイまで裁判を見に行って、法廷から出てくるところを直撃したよ。左に梨元勝、右に俺がいたの。そしたら、2人の腕を抱えて「おう。揃ったな。飲みに行くか」って。今、裁判を終えたところだよ(笑)。この人は何を考えているのかと思ったけど、サービス精神旺盛だったね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

独走でチームを優勝へと導いた阪神・藤川球児監督(時事通信フォト)
《いきなり名将》阪神・藤川球児監督の原点をたどる ベンチで平然としているのは「喜怒哀楽を出すな」という高知商時代の教えの影響か
週刊ポスト
容疑者のアカウントでは垢抜けていく過程をコンテンツにしていた(TikTokより)
「生徒の間でも“大事件”と騒ぎに…」「メガネで地味な先生」教え子が語った大平なる美容疑者の素顔 《30歳女教師が“パパ活”で700万円詐取》
NEWSポストセブン
ロッテの美馬学投手(38)が今シーズン限りで現役を引退することを発表した(時事通信フォト、写真は2019年の入団会見)
《手術6回のロッテ・美馬学が引退》「素敵な景色を見せてくれた」国民的アニメの主題歌を歌った元ガールズバンド美人妻の想い
NEWSポストセブン
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン