スポーツ

藤井秀悟、独立リーグ指導者に転身「サインボールも球団に寄付した。それでも楽しい」

今年から指導者に転身した藤井秀悟

今年から指導者に転身した藤井秀悟

 プロ野球選手の引退後の“第二の人生”は多種多様だ。NPB球団の監督やコーチといった役職に就く者は一握りだが、野球というスポーツの裾野は広いこともあり、様々なかたちで関わり続けるOBは少なくない。ヤクルトの元エース・藤井秀悟(44)もその一人である。NPBとは大きく違う環境に身を置く藤井が、改めて自身の現役時代を振り返り、今後の展望を語った。【前後編の前編】

 * * *

 自分のサインボールを練習のノックボールに使うことなど、想像できなかった。

「これが現実なんだ……もっと良い環境で選手をプレーさせてあげたい」

 かつて、ヤクルトのエースとして活躍した藤井秀悟はそう口にした。藤井は2020年から球団広報兼打撃投手として務めていたDeNAを昨年限りで退団し、今年からは関西独立リーグ『06BULLS(本拠地・大阪府東大阪市。以下、ブルズ)』でゼネラルマネジャー(GM)補佐兼投手コーチを務めている。

「失礼ですが、関西に独立リーグがあることすら最近まで知らなかったんです。だからどんな環境か想像できなかった。飲食店やコールセンターなどアルバイトで生計を立てながら、NPBを目指している。そんな世界があることに驚きました」

 藤井の1日は多忙だ。午前6時前に起床し、電車と選手の車を乗り継いで大阪府大東市にあるグラウンドで午前9時から午後1時まで練習する。プロの施設と違い、シャワーはない。練習後は一度自宅に戻った後、再び身支度して株式会社canteraの本社(大阪府大阪市)に向かう。矢白木崇行代表取締役がブルズでオーナーを務め、藤井は同社の社員として報酬を得ているという。元プロアスリートの就職支援、新卒のアスリート学生に対する進路サポート業務を午後6時まで行う。ブルズのスポンサーを集めるため、時間の合間を縫って地元企業の挨拶に回る。

 不慣れなことが多く目まぐるしい生活だったが、3か月が経った。

「やりがいを感じています。自分が必要とされている環境があることがありがたいですから。ブルズの選手たちは上手くなりたいという気持ちがとても強いので、少しでも良い方向に伸びるように手助けしたい。より良い環境で野球に取り組んでほしいので、スポンサー集めも必死です。応援してくれるファン、企業が増えれば練習環境も施設も改善されていくわけですから」

 前述したように野球用具が不足しているため、藤井が実家に保管していたボール、アンダーシャツなどを球団に寄付した。室内練習場がないため、グラウンドが雨でぬかるんで使用不可の時はコンクリートの上を走ったことも。決して恵まれた環境とは言えない。だが、藤井はブルズの育成方針に心を突き動かされたという。

「選手はユニフォームの着こなしがしっかりしていて、茶髪、ロン毛、ひげは禁止。巨人みたいな雰囲気ですね。球団代表兼GMを務める谷口功一さんの方針で、礼儀、言葉遣いも大事にしている。僕は真面目と言える人間ではないのですが(笑)、野球に取り組む姿勢は非常に大事ですし、野球を離れても必ず役立つ。ブルズは人としても成長できる環境だと思います」

トピックス

俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン