スポーツ

中日・大野雄大と阪神・青柳晃洋「100球で交代しない」エースの投げ合いの価値

中日・大野雄大のピッチング(時事通信フォト)

中日・大野雄大のピッチング(時事通信フォト)

 100球を超えても交代しないエース同士の投げ合いに痺れたファンも多かったのではないか。5月6日の中日対阪神戦で、中日の大野雄大が阪神打線を9回までパーフェクトピッチングで抑え、阪神の青柳晃洋も2安打無得点に抑える好投で延長戦に突入。大野は10回表2死から佐藤輝明に二塁打を浴びて完全試合を逃したが、4番の大山悠輔を打ち取ってスコアボードにゼロを並べる。その裏、中日は石川昂弥のサヨナラタイムリーで勝利した。

 試合後のヒーローインタビューで、大野は立浪和義監督に延長10回に続投するか聞かれ、自ら志願してマウンドに上がったと明かした。プロ野球担当記者が話す。

「2試合連続完全試合を目前にしてロッテの佐々木朗希が降板した後、ネットを見る限りでは『肩や肘を痛めるから投げなくていい』という風潮が大半に感じました。最近では、『せっかく大記録の可能性があるのにもったいない』という意見は『古い』などと批判されやすくなっている。日本は1つの価値観が形成されると、その考え方が常識のように捉えられてしまい、他の意見は耳を傾けられづらくなる。その中で、100球を超えていた大野が続投して10回を投げ切った。こういう起用法もまだあると見せた一戦になりました」(以下同)

 佐々木朗希は21歳の成長途上であり、大野雄大は33歳で今が頑張り時という、年齢的な事情もあるだろう。

「佐々木のように160キロを1試合通じて投げるピッチャーはこれまでいませんでしたし、まさに日本の宝です。だから、首脳陣には“もし怪我をさせたら何を言われるかわからない”というプレッシャーもあるように感じますね。本来、プロ野球はチームの勝利を目的としている中で、今はチームよりも個人が優先される場合も出てきた。もちろん、佐々木が完全試合の途中で降板したのも、9回に打たれる可能性を考慮した面もあるとは思いますが」

 5月6日の中日対阪神戦では球数が100球に届いていなかったとはいえ、0対0の9回表、阪神の矢野燿大監督は青柳をそのまま打席に立たせ、10回も続投させた。

「今はどの球団もルールで決められたかのように、100球前後で先発を降板させていますが、1球団くらいその慣例を破るチームがあってもいい。巨人の桑田真澄投手チーフコーチは先発135球完投を理想に掲げており、まだ現実的にはなっていませんが、このような現在の理論を覆すような指導者がいてもいいのでは。今年の低迷で、矢野監督は批判されていますが、青柳に続投させたことは評価されると思います。今の投手交代は規則的に変わるだけで面白みがないし、エース同士の投げ合いが2人の成長を促すこともありますから」

関連記事

トピックス

【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
日本初となる薬局で買える大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」
日本上陸の内臓脂肪減少薬「アライ」 脂肪分解酵素の働きを抑制、摂取した脂肪の約25%が体内に吸収されず、代わりに体内の脂肪を消費
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
日本製鉄によるUSスチールの買収計画
【日本製鉄のUSスチール買収問題】バイデンもトランプも否定的だが「選挙中の発言に一喜一憂すべきではない」元経産官僚が読み解く
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン