4月17日、一人の走者も出さず8回を投げ終え、降板した佐々木朗希(時事通信フォト)

4月17日、一人の走者も出さず8回を投げ終え、降板したロッテ・佐々木朗希(時事通信フォト)

 古くは巨人の堀内恒夫と阪神の江夏豊がライバル心を剥き出しにして投げ合っていた。1972年6月9日の阪神対巨人戦には通算99勝同士で先発し、堀内が完投勝利を収めた。昭和の後期には広島の大野豊と巨人の槙原寛己の投げ合いが見ものだった。1988年5月28日の広島対巨人戦は、9回まで両チームのスコアボードにゼロが並び、延長10回に勝呂博憲が大野からバックスクリーンに一発を放って、1対0で槙原に軍配が上がっている。

「延長まで進んで、1対0で勝負の付く投手戦は見応えがありました。現在のような、なんでもかんでも100球で交代するという風習はプロ野球の魅力を奪っている側面もある。大野と青柳のエース同士の投げ合いを見て大満足の観客も多いでしょうし、これからの新たな見所となるかもしれません」

 価値観の多様化が謳われながら、多数派の意見が出ると一方向に傾きがちになる中、9回を投げ終えた時点で100球を超えていた大野の続投志願は、現在のプロ野球の風潮に一石を投じたかもしれない。

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