佐藤浩市

上総広常の死に際の笑顔について語った

 狡猾である一方で、文字が書けないというコンプレックスを抱えていたり、妙におだてに弱かったりと、人間臭い広常は多くの人に愛された。

 それだけに、頼朝の陰謀で殺されてしまう場面が衝撃的すぎて……。未来への希望を抱いて必死に文字の練習をしている回想シーンを観ながら号泣。つたない字で「頼朝の大願成就のためにこれから3年のうちにやるべきこと」を記した巻紙の存在が明らかになって大号泣。

 SNSでも「ひどすぎる」「頼朝、大嫌い!」と、広常の非業の死を悼む声が上がった。同時に、死に際に広常が義時に向けた笑顔は何だったのだろうと多くの推測が飛び交った。

「あれは『俺、間違ってたかもしんねぇ』という。彼は、学はないけど馬鹿じゃないんですよ。戦や人間関係において有利な立場に立つことに長けているわけで。だから、自分に落ち度があってこういう最期を迎えたのだと本能的に悟り、義時に『お前は俺の二の舞になるなよ』と伝えたかった。だとしたら、こういう笑顔になるんじゃないかなと自分なりに考えて演じました」

 第15話をもって広常とはさようなら。“広常ロス”から立ち直るのに時間がかかりそうと伝えると、「ありがとうございます。でも『鎌倉殿の13人』は、まだまだ続きます。どんな展開になっていくのか、ぜひ、最後まで見届けてください」と、優しく微笑んだ。

(第2回につづく)

【プロフィール】
佐藤浩市(さとう・こういち)/1960年東京都出身。1980年ドラマ『続・続事件〜月の景色〜』でデビュー。 今年は映画『20歳のソウル』(5月27日公開)のほか、映画『MIRRORLIAR FILMS Season2』内の三島有紀子監督作品『インペリアル大阪堂島出入橋』(公開日未定)、『キングダム2』(7月15日公開予定)、2023年は『仕掛人・藤枝梅安』(4月7日公開予定)も控える。

取材・文/丸山あかね 撮影/森浩司

※女性セブン2022年5月26日号

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