普通の料理番組のつもりで『DAIGOも台所 〜きょうの献立 何にする?〜』(ABCテレビ・テレビ朝日系列、月〜金・午後1時半〜)にチャンネルを合わせた視聴者は目を丸くするかもしれない。料理初心者のDAIGO(44)は、調味料を計量したり、ジャガイモの皮を剥いたりするだけでも精一杯なのだ。おぼつかない手付きで、それでも懸命に作業を進めるDAIGOに対して、講師陣は「いい感じです!」と温かく接しており、そんな番組の雰囲気がネット上を中心に〈優しい世界〉と好評を博している。
放送27年に及ぶ長寿番組『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』の後継として4月4日にスタートするなり、番組関連ワードがTwitterのトレンドを席巻した『DAIGOも台所』。この異色の料理番組はどのように生まれたのか? ABCテレビの矢野政臣プロデューサーに制作の裏側を聞いた。
料理が苦手な人目線の企画を
──全くの料理初心者であるDAIGOさんをなぜ料理番組に起用するに至ったのでしょうか?
矢野P:DAIGOさんとお仕事したことのある社員から「料理に興味があるらしい」と聞きました。そこでDAIGOさんとお話したところ、一児のパパとして家事をするようになったものの、まだ料理には手を出せていない状況だということがわかりました。料理上手なベテラン主婦である上沼恵美子さんの次に、料理初心者のDAIGOさんをメインにした番組が始まるというのは、対比としておもしろいんじゃないかと感じました。
──DAIGOさんも料理番組のオファーというのは驚かれたんじゃないでしょうか?
矢野P:「僕でいいんですか?」という反応ではありました。ただ、僕自身が『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』の制作に関わる中で、「料理に苦手意識を持っている人がとっつきやすい番組も作ってみたい」という気持ちがあったんですよね。やっぱり上沼さんは主婦としてバリバリ料理をやってきた方です。もちろん、それはそれで主婦代表として重要な存在ですが、料理があまり得意でない人目線の企画も需要があるのではないかと。その考えを伝えたところ、DAIGOさんも納得していただけました。
──『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』の後継番組ということで、制作するうえでのプレッシャーはあったのでしょうか?
矢野P:そうですね。正直プレッシャーはありました。上沼さんという素晴らしいタレントさんが長年務めた枠だけに、どうしても期待される部分はありました。どういうコンセプトにするべきか悩みましたが、やはり視聴者の皆さんが本当に必要としているものを出すことが大事だと考えて、マーケティングリサーチを行いました。さらに社内でもヒアリングした結果、料理をする方の7割近くが毎日の献立に悩んでいることがわかりました。献立を考えるのは、本当に大変なことです。そこから「献立の悩みに寄り添う」というコンセプトが決まりました。
視聴者の方が「今日はその気分じゃないな」「もっと軽いものが食べたいんだけどな」と感じたとしても他に選択肢があるように、番組では毎回3品を提案しています。あとは時間的にテレビで見られない方も多いと思うので、Instagramにも番組で紹介したレシピを掲載しています。ライフスタイルが多様化したぶん、それぞれの事情に合うようなアプローチを用意するよう意識しています。