芸能

賛否両論の朝ドラを「ちむどんどん」しながら堪能するコツ5

シークワーサー、ソーミンチャンプルー、島豆腐などを食べるシーンもあった黒島

ヒロインは黒島結菜がつとめる

 朝ドラともなれば色々な人が色々なことを言うものである。大人力について日々研究するコラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 テレビの視聴者は、番組について好き勝手なことを言います。昔は家の中で画面に向かって言うだけでしたが、昨今はtwitterなどのSNSやネットニュースのコメント欄などを通じて、それぞれの声が可視化されるようになりました。

 視聴者はひとりでドラマを見ていたとしても、twitterに感想を書き込んだりハッシュタグを活用して多くの人の声を読んだりすれば、大勢でワイワイ言い合っている気になれます。とくにドラマを存分に楽しむうえでは、もはやSNSは欠かせないツールと言えなくもありません。

ひときわにぎやかな感想戦が繰り広げられるのが、NHKの朝ドラ。4月頭まで放送されていた「カムカムエヴリバディ」に対しては、ドラマに魅せられた視聴者が毎日たくさんの称賛や応援の声を上げていました。関係者一同、さぞ嬉しくさぞ張り合いがあったことでしょう。

 しかし、いったん風向きが変わると、SNSはその凶暴な本性をむき出しにします。世の中で「悪者」と認定された人に対する容赦のなさと同じように、いったん「面白くない」というレッテルが貼られた作品には、まったく容赦ありません。多くの人が「いかに面白くないか」「どこがダメか」を競って語ろうとします。そうなってしまうと、実際に面白いかどうかや、自分が本当はどう感じているかは関係ありません。

 ところで、話はコロッと変わりますが、現在放送されているNHKの朝ドラ「ちむどんどん」にも、twitterをはじめとするSNS上に賛否両論さまざまな意見が書き込まれています。何となく否定的な意見が目立つようにも見えますが、ネットの特性上、自分が目にしたい意見ばかりを見つけてしまっている可能性もあるので何とも言えません。

迂闊に世間の風向きに忖度して評価を下すのは避けたいところ。たくさんのプロのスタッフが英知を結集して、プロの役者さんが全力で演じてくれているんですから、面白くないわけがありません。ご都合主義にも感じられるストーリー展開や、どう受け止めていいか迷うキャラクター設定も、きっと深い考えや今後への布石があってのことです。

5月16日からの週では、主人公の比嘉暢子が東京での料理人修行をスタートさせました。きっとこれからウソのようにストーリーが盛り上がり、誰もが素直に魅力的と思えるヒロインに生まれ変わって、脇役の言動に首をかしげることもなくなるはず。今のところ違和感を覚えている視聴者も、一気にドラマの世界に没入させてもらえるはずです。

「ちむどんどん」とは、沖縄の方言で「心がワクワク、ドキドキする」という意味。もちろん、心の底から毎日ちむどんどんして、ドラマを楽しんでいる方は多いでしょう。その気持ちに水を差すつもりは毛頭ありません。いっぽうで、あーだこーだ文句を言いながら(SNSに文句を書き込みながら)見続ける道もあります。

 ドラマというのは、満足できなければ見るのをやめればいいだけ。誰も強制はしていません。しかし、朝ドラの場合、とくに見ることが長年の習慣になっていると、たとえ好みに合わなくても気軽に「離脱」しづらいのが厄介なところ。それが朝ドラの恐ろしさであり、視聴者を簡単には離さない底力です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン