「負の世界遺産」と呼ばれる原爆ドーム(共同通信社)
海外では誰でも知っているような自己防衛に関する知識の有無も、生死を分けることにつながる。
「ミサイルが飛んできたとき、おそらく学校の先生は避難行動マニュアルに沿って、子供たちを体育館や広い運動場に集合させてしまうのではないでしょうか。
ところが、ミサイルからの防御は屋内避難が原則。そして窓から離れるというのも基本中の基本ですが、体育館は高所にガラス窓が多く、割れて降り注ぐ可能性が高い。そういった知識すらないのが問題です。このまま有事を迎えたら、99%の国民はどうしたらいいかわからず、何もできないまま亡くなる可能性がある」(小谷さん)
身を守る知識と防衛意識を高めておかなければ、危険にさらされる可能性が高まるということだ。それを防ぐには、どのような考えを持てばいいのだろう。元自衛隊陸将の福山隆さんは難しく考える必要はないと話す。
「自分の身を守るために、どうしたらいいのか現実的に考えてください。たとえば“雨が降るから傘を持とう”というレベルでいい。その延長線として、ミサイルを飛ばすかもしれない北朝鮮や中国、ロシアの方角と逆側の物陰になりそうな場所はどこか。自宅の部屋でも、どのあたりなのか考えてみてほしい。ちょっとした工夫の差で大きな違いが出るのです」
あなたの手元にあるスマートフォンは、方位を示すコンパスも世界地図も内蔵できるはず。いますぐ確認してみてほしい。
※女性セブン2022年6月2日号
広島に投下された原爆のキノコ雲。爆心地から1.2km以内にいた被爆者の約50%がその日のうちに亡くなったとされる(共同通信社)