(時事通信フォト)

稀有な女優に(時事通信フォト)

 

“薄幸オーラ”漂う名女優

 木村さんといえば、古くはドラマ『リング〜最終章〜』『らせん』(フジテレビ系・1999年)で貞子役を演じて、世間の話題をさらった。怖いだけではなく、美しさも兼ね備えたバケモノの姿は強烈だった。

 すっきりとした顔立ちや、普段の控えめなトーンの声などが功を奏したのかもしれない。木村さんは“薄幸オーラ”を漂わせた稀有な女優として、出演作が絶えないようになっていた。

 個人的に木村さんの存在を意識したのは『救命病棟24時』(フジテレビ系・1999年)の第2シリーズで見せた、看護師の山城紗江子役。美しさから、救命医の馬場武蔵(宮迫博之)から求愛されるも、しれっと逃げる。馬場の汗臭さと非モテキャラを認識していたらしい。そして、イケメン医師の城島俊(谷原章介)と結婚。控えめさを装いつつも、持っていくところは持っていく。そんな役柄は印象に残った。その後のシリーズで、離婚して職場復帰をするところも含めて。

 実は誘拐犯の一味だった『アンフェア』(フジテレビ系・2006年)の家政婦・牧村紀世子役。『あなたには帰る家がある』(TBS系・2018年)の、モラハラ夫に追いこまれる茄子田綾子役。『あなたの番です』(日本テレビ系・2019年)の息子を家に隠して暮らす榎本早苗役など、期待を超える薄幸な演技は続いた。

 ところが最近はこの演技がずっとご無沙汰であった。『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(NHK総合・2021年)など、コミカル……というか、普通の演技が目立つように。これは見ている側としては物足りなかった。そんなところに飛び込んできた『やんごとなき一族』はファン垂涎。

 久美役、いつも周囲にオドオドしながらも色鮮やかな衣装をお召しになっているのがいい。ロイヤルブルーを意識されているのか、寒色系のドレスが多く、自宅でも常にハイヒールという奥様ぶり。健気に生きてきたけれど、ついに家族のためだと佐都に「深山家を変えてちょうだい!」と懇願して、自らも立ちあがろうとする久美。近いうちにブチ切れる久美も見られるのかと、ワクワクしながら木曜の22時を待つ。

【プロフィール】
小林久乃(こばやし・ひさの)/エッセイ、コラムの執筆、企画、編集、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍を数多く制作。著書に、30代の怒涛の婚活模様を綴った『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)、『45センチの距離感 -つながる機能が増えた世の中の人間関係について-』(WAVE出版)がある。静岡県浜松市出身。Twitter:@hisano_k

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