「この世代の男性は、職場という“お膳立てされた人間関係”の中だけで生きてきた人が多いのが特徴です。“会社員”“上司”といった立場で人間関係を築いてきたほか、若い頃から仕事を生きがいにまい進してきたため、もともとの趣味や友人もあまり持っておらず、家庭内でも居場所がないケースもある。年齢を重ねて出世するほどプライドがじゃまをして、会社での地位から離れて裸一貫で新たな友人をつくることが難しく、退職後に孤立しやすいのです」
平均寿命が延びて退職後の人生が長くなったことも、男性が生きづらくなった原因の1つと考えられる。これは決して、本人だけに落ち度があるわけではない。「男は仕事、女は家庭」という価値観で育ち、男性であることを理由に弱音を吐くことをよしとしない、昭和の“空気感”のせいでもある。
「いまの50〜60代には、現代からすると古い男女観が刷り込まれている人がまだいます。そのため、ほかでもない男性自身が“男らしさ”を最重要視してしまいやすい。いつまでも男らしくあろうとするあまり、年を重ねても頑張ってしまう。女性は不満や悩みを夫や友人に話して発散できますが、男性は自分の中に抱えたまま、ため込んでしまう人が多いのです」
中高年男性の生きづらさは、本人からも見えにくいのだ。
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※女性セブン2022年6月9日号