朝方は日中よりも血圧が高くなりやすい。脳梗塞や心筋梗塞の時間帯別発症数は、午前8~12時の起床後まもない時間帯が最も多いとの研究結果もあり、朝方のトイレには特に注意が必要だ。また歳を重ねると持病はつきものになるが、高血圧の人は「トイレ死」のリスクが高いことも知っておきたい。中島氏が語る。
「排便時にいきみ、血圧が急上昇することで死のリスクが増すので、もともと高血圧の人はさらに血圧が上がるためハイリスクになります。血圧が高く、日常的に降圧剤を服用しているご年配の方も多いですが、トイレでいきむ時は薬の服用に関係なく、血圧が急上昇するので油断は禁物です。また、過去に心筋梗塞や脳梗塞などを発症した人も、動脈硬化が進んでいるためリスクがあります」
刺激性の便秘薬は…
トイレで死を迎えると下半身を露出していたり、糞尿まみれになったりするケースもある。人生の最期を迎える場としては、なるべく避けたいシチュエーションだ。悲惨なトイレ死を防ぐにはどうすべきか。大切なのは、まず日常生活を整えることである。
「規則正しい生活をすることで自律神経のバランスが整い、便が出やすくなります。睡眠も大切な要素なので、夜ぐっすり眠るために昼寝は30分程度にとどめてほしい。ウォーキングなどの適度な運動も効果的です。
また特に重要なのが食事で、食物繊維を多く摂るように心がけましょう。国が推奨する1日20gは、キャベツなら1個、シイタケなら30枚、リンゴなら6個に相当してハードルが高いですが、肉食習慣のなかった江戸時代の日本人は、毎日100g以上の食物繊維を摂取し、便秘とは無縁だったとされています。まずは野菜を多く摂るように取り組みましょう」(中島氏)