OECD加盟国の1日の平均睡眠時間

睡眠薬の年代別服用率

 また、最新2022年版の睡眠偏差値調査では、いくつか興味深いデータが公表されている。「睡眠薬の服用率」に関する年代別調査もその1つだ。

 一般に“睡眠薬を必要とするのは高齢者に多い”というのが従来からの定説だった。

 今回の調査では女性で50代と60代以上に服用率が高い傾向があったが、全体では20代男性が2021・2022年とも14〜15%と最も服用率が高いという意外な実態がわかった。

「その背景には、日本は世界的な睡眠薬大国であり、クリニックでも薬局でも睡眠薬が手に入りやすい環境にあることが挙げられるでしょう。クリニックでは従来、脳の働きを低下させることで眠気を起こすベンゾジアゼピン系睡眠薬を処方するケースが多かったのですが、最近は翌日まで薬の効き目が持ち越されないタイプの睡眠薬も登場し、睡眠薬を取り巻く状況は以前より改善されています。ただ20代の若者は、コロナ禍によるストレスで眠れなくてもクリニックに行かず、薬局の市販睡眠薬に手を出す人が増え、心配な傾向といえます。睡眠薬に頼らず、医師のアドバイスや睡眠アプリなどほかの方法で対処してほしいですね」

 もう1つが、「自身をショートスリーパーと認識する人が23.4%もいる」というデータだ。

 そもそもショートスリーパーとは、睡眠時間が4時間程度以下でも日中に眠気を感じることがなく、長期的に見ても心身ともに何ら支障をきたさない人を指す。

「これは短眠の遺伝子を持ったまれな体質の人であり、日本の統計では全体の約1%といわれています。なのに23.4%もの人が、自分をショートスリーパーだと自認している。ショートスリーパーという言葉の意味を個々人がバラバラに解釈していて、“自分は4時間以下の睡眠を続けていてもまったく健康だし、体調にも何の問題もない”と考えているとしたら、それは危険です。4時間以下の睡眠を毎日続けていれば、体にいずれ害が生じることは間違いありません。短時間睡眠でも大丈夫と思うこと自体が問題ありですね」

 このように、示唆に富んだ結果が本調査には多かった。

「世界一睡眠時間の短い日本は長寿国ですが、そもそも日本人の睡眠時間は高度経済成長とともに短くなっていきました。短時間睡眠で将来も長寿を守れるとは限りません」

 改めて、自身の睡眠への意識改革を進めたいものだ。

取材・文/北武司

※女性セブン2022年6月16日号

睡眠薬の年代別服用率

OECD加盟国の1日の平均睡眠時間

自身をショートスリーパーと認識している人の割合

自身をショートスリーパーと認識している人の割合

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