芸能

テレ朝も“撤退”!民放主要4局の20時台ドラマ枠が消滅へ TV局の切実事情

今年は映画化も

『科捜研の女』も『木曜ミステリー』から生まれた

 かつては多くの話題作を呼んだドラマ枠の1つが「20時台ドラマ」だ。しかし、テレビ朝日がこの時間帯のドラマ放送から“撤退”することで、民放主要4局の「20時台ドラマ」が消滅する。テレビ局が進める編成の背景にはいったいどんな事情があるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 その一報に業界内がざわつきました。テレビ朝日が木曜20時台のドラマ枠『木曜ミステリー』の終了を発表。次クールの『遺留捜査』を最後に23年9か月の歴史に幕を下ろすことになるそうです。

『木曜ミステリー』と言えば、現在も続く『科捜研の女』を筆頭に『京都迷宮案内』『おみやさん』『京都地検の女』『遺留捜査』『警視庁・捜査一課長』などの人気シリーズ作を輩出した歴史あるドラマ枠。現在も他のドラマ枠に比べて視聴率が低いわけではないだけに、驚きの声も挙がっていました。

 ただ、業界内がざわついた最大の理由は、『木曜ミステリー』の終了によって民放主要4局の20時台のドラマ枠が完全に消滅してしまうこと。

 各局のゴールデン・プライム帯で放送している『木曜ミステリー』以外のドラマ枠を見ていくと、日本テレビが水曜22時台、土曜22時台、日曜22時30分からの3枠。テレビ朝日が水曜21時台、木曜21時台の2枠。TBSが火曜22時台、金曜22時台、日曜21時台の3枠。フジテレビが月曜21時台、月曜22時台、水曜22時台、木曜22時台の4枠。合計すると、19時台が0枠、20時台が0枠。21時台が4枠、22時台が8枠で、各局が遅い時間帯にシフトしています。

 ちなみにテレビ東京が金曜20時台にドラマ枠を編成していますが、ネット局が少ない上に、還暦前後の主演俳優が多い極端な高齢層向けであり、業界内では主要4局のドラマ枠と同列で見られていません。

 なぜ20時台のドラマ枠は消滅してしまうのでしょうか。また、ドラマにはどんな未来が予想されているのでしょうか。

テレ朝「高齢層向けドラマ枠」の限界

 20時台のドラマ枠が消滅してしまう最大の理由は、広告収入を得やすいコア層(主に10~40代)の個人視聴率が獲れないから。かつては主要4局すべてが20時台にドラマ枠を編成していましたが、家族形態やライフスタイルの変化、エンタメコンテンツの多様化などで、同時間帯の視聴者層が大きく変わりました。

 20時台はファミリー層と高齢層の視聴者が多くを占めるようになり、『木曜ミステリー』は、そのうち高齢層の視聴者を手堅く押さえることで安定した視聴率を獲得。しかし、この視聴率が必ずしも広告収入を担保するものではないようです。

 テレビ朝日は『木曜ミステリー』を終了する理由について、「木曜日のゴールデン帯全体の編成を総合的に判断した結果」とコメントしていましたが、実際のところ木曜日だけの話ではありません。テレビ朝日は水曜21時台と木曜21時台のドラマ枠も高齢層がメインの視聴者層であり、「営業的にCM枠を埋めていくのが難しく、単価も下がってしまう」などの声を何度も聞いていました。

 一方、他局はいち早く20時台のドラマ枠をファミリー層向けのバラエティに変え、ドラマ枠は22時台を中心に編成。さらにドラマ枠は、視聴率だけでなく、配信再生数やSNSの動きなども評価指標に加えられ、広告配信や海外配信での収入増を目指しはじめています。その点、『木曜ミステリー』は根強いファンこそ多いものの、その内容や視聴者層から配信視聴が見込みづらく、今後の行方を不安視されていました。

「それならファミリー層向けのドラマを作って20時台に放送すればいいのでは?」と思うかもしれせんが、「そのような作品ジャンルを見い出せていない」のが現実。かつては20時台に人気アイドルの主演ドラマや、10代の若手俳優を起用した学園ドラマなどが放送されていましたが、低視聴率から軒並み撤退。「グルメ、笑い、クイズなどのほうがファミリー層の数字が獲れる」という判断からバラエティが選ばれています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン