国内

鉄道開業150周年 開業時の「下等運賃」は「約10kgの米」の値段と同じだった

(提供/JR東日本)

今年は鉄道開業150周年(提供/JR東日本)

 コロナ禍で旅に出たい気持ちにがまんを強いられたここ数年だが、今夏は感染状況もやや沈静化。久々に旅に出かけられそうだ。特に今年は日本の鉄道が開業150周年を迎え、電車旅が注目の的。登場以来、私たちの「遠くへ行きたい」という願望を叶えつつ、日本の発展の原動力となった鉄道旅の魅力を“懐かしの写真”とともに振り返ってみたい。

 別掲の写真は昭和29(1954)年の遠足のひとコマ。鉄道に乗った子供たちが一斉に車窓を見ながら生き生きとした表情を浮かべている。その無邪気な様子からは、遠くへ行くことが喜びだった記憶がよみがえる。

 そんな日本人の夢を叶えた鉄道の第1号が新橋(東京・汐留)〜横浜(現・桜木町駅)間で開業したのは、明治5(1872)年。150年前のこと。ここから日本の列車旅は始まった。

「明治維新から5年後、明治政府が鉄道建設を急いだ理由は、日本の表玄関である横浜港と東京をつなぐ必要があったため」と、鉄道ジャーナリストの松本典久さんは言う。

「それまで徒歩か駕籠で丸1日かかったのが、鉄道だと53分。当初の鉄道は新橋〜横浜間と京都〜神戸間だけでしたが、明治39年の鉄道国有法で各地の私鉄網が国有化されると、新橋〜下関間に直通列車が登場。すると、下関から海を渡り、釜山からシベリア鉄道を経由する『新橋発パリ・ロンドン行き直通切符』が買える時代になりました。『放浪記』の作者・林芙美子さん(昭和26年没)も昭和6年にこの切符で旅しています」(松本さん)

【開業時】下等運賃は、約10kgの米の値段と同じだった

 日本の鉄道発祥の地「旧新橋停車場」は、現在、当時の駅舎やプラットフォームが再現され、無料公開されている。

「日本の鉄道の父は元長州藩士の井上勝とされていますが、鉄道敷設の中身を決めた中心人物は大久保利通でした。

 欧米列強に追いつくために大久保率いる明治政府は鉄道の導入を決めたわけですが、当時、明治政府は低予算で建設する必要があったため、レール幅を世界標準の1435mmでなく、1067mmの狭い規格にし、さらに摩耗したら上下逆さにして使える双頭レールを採用。しかし国産製鉄技術が向上すると、逆T字型レールの方が敷設しやすいということで、双頭レールは消滅していきます」(松本さん)

 ちなみに、鉄道開業の日は明治天皇臨席の開業式が行われたが、その様子を三代歌川広重が錦絵に描いた。開業時の全区間運賃は上等=1円12銭5厘、中等=75銭、下等=37銭5厘。下等運賃は約10kgの米の値段と同じ額だった。

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン