お惣菜屋さんの看板ネコ。

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 トルコに渡ったのは昨年6月。想像以上にかんたんでした。まずコロナ禍でありながら、「外国人の観光目的での渡航可」「隔離期間なし」だったこと。日本人は3か月以上の滞在でビザが必要になりますが、ビザ取得に関する入国管理局での面接もそれほど難しいものではありませんでした。

 先にトルコに住んでいる先輩たちに聞くと、その昔は1年滞在ビザを発行してもらうためには、銀行口座に家賃の6か月分以上の預金が入っていなければならない、といった条件があったそうです。しかし、昨年の6月にはそうした「資産要件」がなかったのです。実際、ある程度の資産がなければ長期滞在は許可されないという資産要件のある国は少なくありません。ひろゆき氏やあっちゃんのように資産を持つ人なら問題ないのでしょうが、裕福ではない私にとって、トルコは資産要件がほぼなかったことも重要なポイントの一つでした。

 ただ、ビザを取るための必要書類集めから、記入まで、トルコ語が分からないとかなり厳しいです。トルコに長期で住みたい人向けに、ビザを取得するための代理店などが近年できたそうで、私はミスを避けたかったため、そんな代理店にお願いをして書類を揃えてもらい、面接に挑んだのが良かったのかもしれません。

 これらはあくまでも昨年の6月時点の話です。制度は毎年のように変わり、個人によってもビザ取得の難易度は変化します。昨年は資産要件がなく観光ビザ1年を取得できましたが、今年の5月より新しい要件ができたと聞いていますので、興味のある人は調べてみてください。

 さて、そうした条件面で私に合っていたということもありますが、何より「人」という面でも日本人に合っています。トルコの人々を知れば知るほど心優しい人柄に、心を揺さぶられます。一見面倒なことでも、「今忙しいから」、または「時間がない」などと一切言わず、人が困っていたら、ひとまずできる、できない関係なく、助けようとします。

 ある時、私が道に迷って近くにいたトルコ人に道を尋ねたところ、気づいたら周りに10人くらい集まって「どうしたどうした」と、「何か手伝えることはないか」と、人が集まったことがありました。そして「言葉が通じないと大変だろうから」と、私が行きたい場所までわざわざ連れて行ってくれたのです。これが特別なことではなく、当たり前の光景。親日家というのも関係あるのかもしれません。

 尋ねた場所が相手の知らない場所なのに「その場所知ってるよ!」と、目的地とは違った場所を教えてくれたり、到着すると違う場所についていたりするのも、トルコあるある(笑い)。とにかく助けたい。その気持ちと優しさを十分に感じることができるので、憎めません。

 そして街を歩いていると、野良猫、野良犬の多さに驚きます。街の住民が毎日ご飯とお水を上げているのです。中には野良犬用に小屋を買ってあげる人もいて、生活の一部に彼らの存在が常にあります。聞いたところによれば、トルコは猫と犬の殺処分ゼロという希少な国なんだそうです。

 スーパーやコーヒーショップの店内に猫がいるのも日常茶飯事。店内で猫の「お昼寝」に遭遇し、癒やされたことは何度もあります。最初は慣れない光景に驚きと癒しが混合していましたが、「生命」をありのままに受け入れ、動物と共に生きているトルコの人々の暮らし方が、自然により近いと感じるようになり、今では驚くどころか、生活の一部に犬や猫が常にいる日常がとても心地よく感じています。

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