『鎌倉殿の13人』も含め、多くの映像作品で馬術指導を担当してきたラングラーランチの田中光法氏

『鎌倉殿の13人』も含め、多くの映像作品で馬術指導を担当してきた田中光法氏

──戦国武将役なのに手綱を握る手が力んでいたりとか、馬に気がまわっているような芝居になったら……。

田中:もう、どうしようもない、元も子もないんですよね。ましてや甲冑を着るだけでも身体の動きって、相当に制限されるので、余裕がないと演技ができないんです。

 ただ、一般のお客さんに教えるようなレッスンの十倍ぐらいの速度で進めていかないと間に合わないんです。だから、それに合わせて馬の調教もしておかないといけないんです。

 たとえば、急に駆けだす場面で、最初は上に乗っている役者には馬へ指示を出す余裕はありません。なので、インストラクターの号令で駆け足をするように馬を準備しておくと、二、三回しか役者が乗っていなくても、すぐ駆け足を体験できるのです。

 普通の乗馬クラブでいったら、多分、駆け足の指示を馬に出せるようになるまで、必要な練習は何十回じゃきかないです。

【プロフィール】
田中光法(たなか・みつのり)/1967年生まれ、東京都出身。ラングラーランチ代表。4歳のときに家族で山梨県小淵沢に移住。NHK大河ドラマ『葵 徳川三代』『武田信玄』『真田丸』や現在放送中の『鎌倉殿の13人』まで数々の映像作品で馬術指導を担当。

【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。

撮影/藤岡雅樹

※週刊ポスト2022年7月8・15日号

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