国内

【安倍氏銃撃】小林よしのり氏が指摘する「マスク社会が犯人を助けてしまった側面」

安倍氏銃撃に関し小林よしのり氏が見解を述べる

安倍氏銃撃に関し漫画家の小林よしのり氏が語る

 戦後初となる総理大臣経験者の暗殺事件がニッポン社会を大きく揺るがしている。なぜ悲劇が起きたのか、漫画家の小林よしのり氏が分析する。

 * * *
 事件の映像を見ると、犯人がマスクをしている。顔の表情に見える挙動不審感をSPも見抜けなかったのかもしれない。

 マスクをしていたら、口元がニヤついているのか、緊張でこわばっているのかも分からない。目つきで分かるといったって、表情はそれぞれのパーツの連動や全体のバランスで把握するものであって、目だけ出ていたところで、睨みつけているかどうかだって分かりはしないだろう。

 しかも、数多くいる聴衆がみんなマスク姿だ。誰が怪しいか、目星をつけるのは難しいに違いない。

 わしは「ゴー宣道場」というイベントをやっているが、聴衆はそこではマスクをしていないので、全体を見渡せば顔の表情でだいたい警戒度が分かる。わしを睨みつけるように見ている者がいれば、反発した感情を抱いているのかもしれないと気をつけるようにするし、警備の者たちもそれとなく警戒するようになる。

 マスクという覆面は、犯人にある種の自信を与えたことだろう。半分顔を覆うことで、本心を覆い隠し、周囲に溶け込めているという安心感があったはずだ。顔が出ていればそうはいかない。表情からバレるんじゃないかとビクビクしていたかもしれない。

 かつては顔を覆いたくても、誰もマスクなんかしていないから目立ってしまった。今は逆だ。マスクをしてさえいれば群衆に溶け込める。マスクが犯人を助けたのだ。

 ソーシャルディスタンスというものの問題点もある。犯人が撃った5メートルは「至近距離」だと報じられたが、コロナ禍で言われるソーシャルディスタンスは保ったことになる。我々は、杓子定規な距離の取り方を覚えたことで、臨機応変に間合いを感じて対応する術を失ってしまったのかもしれない。

 コロナが与えた社会的変化が、事件に与えた影響は案外大きいように思う。つまり、マスクはコロナウイルスも完全には防げないし、テロも防げないということだ。

 マスクが日本をおかしくしていることに、いいかげんみんな気付いたらどうだ。

※週刊ポスト2022年7月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
グラドルデビューした渡部ほのさん
【瀬戸環奈と同じサイズ】新人グラドル・渡部ほのが明かすデビュー秘話「承認欲求が強すぎて皆に見られたい」「超英才教育を受けるも音大3か月で中退」
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
無名の新人候補ながら、東京選挙区で当選を果たしたさや氏(写真撮影:小川裕夫)
参政党、躍進の原動力は「日本人ファースト」だけじゃなかった 都知事選の石丸旋風と”無名”から当選果たしたさや氏の共通点
NEWSポストセブン
セ界を独走する藤川阪神だが…
《セの貯金は独占状態》藤川阪神「セ独走」でも“日本一”はまだ楽観できない 江本孟紀氏、藤田平氏、広澤克実氏の大物OBが指摘する不安要素
週刊ポスト
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン