おなじみの衣装に身を包んだ2人(写真は番組のTwitterより)

おなじみの衣装に身を包んだ2人(写真は番組のTwitterより)

 そうして、寺脇は自ら「降板」を申し入れ、8年も続いた水谷とのコンビを解消した。その後、寺脇は2010年のドラマ『853~刑事・加茂伸之介』(テレビ朝日系)で、初の連ドラ“単独主演”を果たした。

「『相棒』のスタッフも多数かかわり、“寺脇さんの代表作に”という思いで制作されました。しかし、視聴率が思ったより伸びなかった。いま思うと、『相棒』と同じ刑事ものということもあり、亀山の印象が強すぎたのも、視聴者に受け入れられなかった原因だったのでしょう。この結果には、寺脇さんもひどく落ち込んでいた。周囲からは『相棒』に出たことを非難する声さえ聞こえ、寺脇さんをさらに悩ませていた」(前出・別の芸能関係者)

 一方、寺脇の卒業後は、及川光博(52才)、成宮寛貴(39才)、反町隆史(48才)が相棒のバトンをつないだ。芸能ニュースなどで交代が話題になるたびに、初代として印象深い寺脇の名は常に取り上げられた。だが、2代目の及川が卒業後に劇場版に登場したように、寺脇が「ゲスト」という形でも『相棒』の現場に戻ることはなかった。

「殉職ではなく、海外への移住という形でのフェードアウトだっただけに、ファンは“またどこかで出演するのでは”という希望を持ち続けていました。しかし、復帰が実現することはなかった」(テレビ局関係者)

 そればかりか、遺恨が浮き彫りになるような出来事も起こった。2012年10月、『相棒』の共演者で、寺脇とも仲がよかった川原和久(60才)の結婚披露宴が開かれた。水谷をはじめ、及川や成宮といった歴代の相棒や共演者が勢ぞろいする中、寺脇の姿だけがなかったのである。この頃、『相棒』スタッフの間では「二度と2人の共演はないだろう」とさえささやかれていた──。

最後の相棒は寺脇しかいない

 しかし、放送開始から20年を超え、水面下で4代目の反町の降板に向けた調整が始まった昨年春頃、大きく風向きが変わり始めた。かねて、水谷には「70才を節目にする」という考えがあったという。

「『相棒』は2クールの連続放送のため、1年のうち約7か月間は撮影で拘束されます。いくら経験のある水谷さんにとっても体力的に厳しく、人気のあるうちに最終回を迎えたいという気持ちもある。今年7月に70才を迎えた水谷さんにとって、今回のシーズン21が最後の『相棒』になるともささやかれています」(別のドラマ関係者)

 新たな「5代目相棒」のキャスティングが高いハードルだったことも影響した。一部では、福士蒼汰(29才)や町田啓太(32才)といった若手俳優や、すでに警視庁の広報課長として出演している仲間由紀恵(42才)といった名前が取り沙汰されたが……。

「水谷さんの意向は漏れ伝わっており、相棒シリーズが今後も長く続く保障はなかった。仮に新しい相棒役に決まっても、その後間を置かずに終了してしまった場合、新たな相棒を演じた役者が“人気シリーズ終了の原因”といわれてしまうことも考えられます。そういった事情もあって、業界内では“オファーがあっても受けるのは難しい”と二の足を踏む声も聞こえていた」(広告代理店関係者)

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