新人を見捨て…
【ケース2】新人を見捨てて辞める女
娘の小学校のPTA役員がなかなか決まらず、これまで役員をやったことがない人から勧誘し、やっとのことで入ってくれたのが美絵さん(44才)でした。
「仕事もあるので毎日は来られませんが、皆さんの足を引っ張らないようにがんばります」
と前向きに参加を表明。とはいえ、PTA役員の経験はゼロなので、ベテランの遥さん(44才)と組んでもらいました。美絵さんと遥さんは、同じ年齢で出身地も近いとあって、すぐに意気投合。
「われながら、いい組み合わせにしたじゃない」
と思っていたんです。
ところが、5月の運動会の後、ベテランの遥さんが、誰にも何も言わず、PTA役員を突然辞めてしまったんです。電話もつながらなくなり、親しかった美絵さんに事情を知っているかと聞くと、彼女もショックを隠せない様子。
「私、なんか失礼なことをしちゃったかしら。まだ仕事の引き継ぎもできていないのに……」
と困っていました。それからしばらくして、共通の知り合いから、
「遥さん、美絵さんがうらやましかったみたい。“あの人を見ているとムカつく”と言っていたわよ」
と教えてくれたんです。確かに、美絵さんは整った容姿をしているし、愛想がよくてすぐにPTA役員の輪に溶け込みました。一方で遥さんは、控えめで人見知りタイプ。とはいえ、誰と組んでもうまくサポートしてくれるので、副会長である私もだいぶ頼りにしていたのですが……。遥さんはそう思わなかったみたいですね。美絵さんを妬み、突然辞めることで困らせようとしたようです。
そもそも私がこの2人を組み合わせたのが悪かったのかもしれません。もっと彼女たちの話を聞いていればと、後悔先に立たずです。(48才・主婦)
【心理カウンセラーが解説】自分の嫉妬心を認めることが大切
「この場合、美絵さんが無意識にマウントをとっていた可能性もあります。2人それぞれから早めに不満を聞いたり話し合ったりしておくとよかったかもしれません。とはいえ、嫉妬心は誰にでもあり、解決しようにも本人の問題なので難しいところもあります。ただし、自分が同じ轍を踏まないために、できることはあります。それは、自分の嫉妬心を認め、その感情を受け入れること。そうすることで、他人と自分の違いを冷静に線引きできるようになります」(石原さん)
【プロフィール】
心理カウンセラー・石原加受子さん/「自分中心心理学」を提唱し、親子関係をひもときつつメンタルケアを行う。近著に『「また断れなかった…」がなくなる本 』(河出書房新社)。
取材・文/前川亜紀 イラスト/高田真弓
※女性セブン2022年8月11日号