秋田港へ寄港するクルーズ船はコロナ禍前の2019年度には21便あり、秋田経済を支えていた。それらはコロナによって消失したわけだが、遊休資産である秋田港駅や支線を活用しない手はない。こうした思惑から、「JR東日本・JR貨物・秋田臨海鉄道の3者が協力。今回の企画列車が実現した」(JR東日本秋田支社広報担当)
今回の企画列車は秋田駅発着となるが、貨物支線はひとつ隣の土崎駅から分岐している。土崎駅発着にしなかった理由は、「土崎駅がこぢんまりとした小さな駅のため」(JR東日本秋田支社広報担当)とのことだが、土崎駅も1990年代から駅舎を改築したり、駅前広場を整備したりと観光客を意識した取り組みを進めていた。
非公開駅を巡るツアーを実施する京成
遊休資産を活用して、新たな需要を生み出そうとする動きは、JR東日本秋田支社だけの話ではない。成田空港の利用者を輸送してきた京成電鉄もコロナ禍により利用者が激減し、さまざまな需要の掘り起こしを狙っている。
京成は、スカイライナーという空港へのアクセス特急を運行してきた。成田空港の利用者によって需要を支えられてきた京成が、コロナの影響をダイレクトに受けたことは想像に難くない。
そうした需要を取り戻すために、京成は非公開にしている東成田駅や博物館動物園駅のバックヤードツアーを催行する。バックヤードツアーはコロナ禍で始められたものではない。これまでにも定期的に催行されてきたが、これがコロナ禍で注目されているのだ。
「これまでにも東成田駅や博物館動物園駅を巡るツアーは、定期的に実施してきました。今年8月27日と9月17日に実施するツアーは、ひとつのツアーで両駅を巡ります。両駅を同時に組み込んだツアーは今回が初めての実施です」と話すのはツアーを企画した京成トラベルサービス企画部の担当者だ。
東成田駅は1978年に成田空港駅として開業。当時、成田空港の用地買収をめぐって、政府や地元住民との話し合いはまとまらず、三里塚闘争と呼ばれる対立へと発展。そのため、東成田駅は空港ターミナルから離れた場所に開業せざるを得なかった。
1991年に新線が開業し、ターミナルの近くに新・成田空港駅が誕生。これにより、旧・成田空港駅は東成田駅へと改称した。同時に、東成田駅のコンコースなどの一部区域は立ち入りができないように閉鎖されている。