1996年、今も語り草となっている熊本工戦での「奇跡のバックホーム」(時事通信フォト)

1996年、今も語り草となっている熊本工戦での「奇跡のバックホーム」(時事通信フォト)

 松商での18年間におよぶ監督生活のあと、北条高校を12年間指揮し、65歳で退職した後に母校へ戻った澤田が話す。

「力のない子をいかに指導したら、野球の技術が身につきやすいか。勉強になった北条での12年間でした。これまでもOBから、復帰を望む声はあったんやけど、現在の監督さんの意向を無視して戻るわけにはいかん。そんな時、大野監督から声をかけていただいた。こんな幸せはありません」

 復帰にあたり、自らに「使命」を課した。

「まずは甲子園に出場すること。そしてもう一つ、全国でも松山商業しか権利のない4元号での優勝に挑戦すること。これは使命ではないかもしれんね。男の浪漫じゃろ」

 大野と澤田にはそれぞれ別の場所で取材に応じてもらったが、奇しくも、両者は「浪漫」という言葉を使った。第1シードで臨んだ今夏は大野の前任校である今治西に3回戦で敗れたが、夏将軍の復活──それは高校野球ファンの浪漫でもある。

※週刊ポスト2022年8月5・12日号

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