ギャップやコントラストのある反町隆史の演技で高柳社長がどんどん魅力的になる(イメージ、時事通信フォト)

ギャップやコントラストのある反町隆史の演技で高柳社長がどんどん魅力的になる(時事通信フォト)

 主人公・新町の妻は榮倉奈々演じる糸山果奈子という元人気アナウンサー。それを知った高柳は社長室に新町を呼び出し、「どうして黙ってた?」と詰め寄り「大ファンだった」と告白。そして「家に帰ると糸山果奈子ちゃんがいるの?」「糸山果奈子ちゃんがお帰りっていうの?」と、これまでとは口調も表情も激変、興奮気味に問いかけたのだ。果奈子が弁当を届けに会社を訪問すると「2ショット撮らせて」と新町に頼むほどだ。

 その変わり様があまりにすごすぎて、こういう事を「ゲイン・ロス効果」というのだろうと思った。ゲイン・ロス効果とは、最初に持ったイメージや印象とのギャップが大きいほど、相手により大きなインパクトを与え、印象を変えることができるという心理的効果だ。印象の変化は人を引きつけるのに効果的だが、プラスにもマイナスにも変化する。

 このシーンで視聴者の心をプラスの方向へ一気に引きつけたのは、反町さん自身と演じた役がぴたりと重なったからでもある。糸山果奈子を「松嶋奈々子」に変えれば、そのセリフは反町さん自身が何度も言われたことがあるはずだと、おそらく誰もがそう思っただろうし、反町さんにそう聞いてみたくなったのでは?と思うのだ。

 パフォーマンス学では、話を始める時、聞き手に興味のある話題や自虐ネタやご当地ネタなどを使って、相手との間に橋をかけるように心を引き付ける方法を「ブリッジング技法」という。このセリフには、この技法が応用されていると思う。ドラマの中の人物だけでなく、それを演じる俳優にも共感し、興味と関心を強く持ったからだ。高柳という人物の違う一面を見せるために、このセリフを選んで書いた脚本家もすごければ、それまでとはまったく違い、表情豊かに茶目っ気たっぷりに演じてみせた反町さんの演技も素晴らしかった。

 さらに5話では、デスクトップPCの壁紙が2ショット写真に設定され、「果奈子ちゃん、本出すんだって?」と新町に小声で確認。「必ず買いますって伝えてくれ。できればその本に…」とサインをせがむような仕草を見せるシーンもあった。そんなギャップやコントラストのある演技を見ていると、彼の演じる高柳だけでなく、反町さん自身もどんどん魅力的に見えてくる。

 これからどんな過去やエピソードが明らかにされていくのか、反町さん演じる高柳社長が楽しみな『オールドルーキー』だ。

『GTO』で共演し結ばれた2人

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妻・松嶋菜々子もドラマ出演中

活躍の場が広がる

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