『ダウンタウンvsZ世代』の主な放送内容(公式サイトより)
若者に受け入れられているダウンタウン
昭和の映像だけならBSでも流れている。高視聴率には番組の見せ方、作り方に工夫があったという。
「日本テレビは昔から高齢層と若年層を取り込むのが上手い。昔、昭和のヒット曲と今週のヒット曲を交互に紹介する『速報!歌の大辞テン!!』がありましたよね。『ダウンタウンvsZ世代』はあの番組の延長線上にあるように見えます。テレビを見ながら、親が昭和の思い出を語り、子供が疑問を投げかけるような家族の会話が生まれる構成でした。
また、昭和の出来事を振り返りながら、単なる懐古VTRにせず、今と結びつけていた。たとえば、『不幸の手紙』は現代ではチェーンメールですし、『お見合い』はマッチングアプリです。睡眠学習器なんかも今振り返ると、笑える要素があった」
VTRを見たZ世代のみちょぱ、ゆうちゃみ、HKT48の矢吹奈子、SixTONESの森本慎太郎などがスタジオで素直な感想を述べ、それぞれの流行やモノについて「あり・なし」で評価を下した。
「彼女たちが若者の視聴者を繋ぎ止めた。単に人気者を並べるだけでなく、キャスティングに役割があった。当たり前のようでいて、最近そういう番組は少ない。しがらみも含め、豪華なタレントを揃えれば良いという考えのスタッフもいますから。
司会がダウンタウンという点も非常に大きかったですね。老若男女に知名度がありますし、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)を始め、彼らの関わっている番組は結構コア視聴率を取っている。言い換えれば、松本人志も浜田雅功も若者に受け入れられています。司会者がもう少し上の世代だったら、世帯視聴率は上がっても、コアは少し下がったかもしれません」
『ダウンタウンvsZ世代』は昭和の映像を使っても、高齢層だけでなく若い世代にも通用すると証明した。
「他のテレビマンに大きなヒントになったと思います。数字が高かったので今後、各局で昭和の映像を使った番組が増えるのではないでしょうか。ただ、日本テレビは伝統的に離れた世代を取り込むノウハウを持っているから、高視聴率を取れた。他局がただフォーマットを真似するだけでは数字は取れないと思うので、どんな工夫をしていくのかが問われていると思います」
制作側の工夫で“テレビ離れ”を食い止めることができるか──。