転倒して「骨折」
多剤併用には「飲み合わせ」リスクもある。ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師が言う。
「いくつもの薬を飲み合わせると代謝に影響して薬が効きすぎてしまったり、逆に効かなくなったりすることがあります。生活習慣病の薬は比較的副作用が少ないものの、飲み合わせ次第では予想外の副作用が出ることも。特に高齢者は生理機能が低下し、薬の血中濃度が上昇しやすいので飲み合わせのリスクが増します」
主な生活習慣病の薬の飲み合わせリスクを別掲の一覧表で示した。
谷本医師が「夏場は特に注意」と指摘するのが降圧剤の利尿薬と糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬の組み合わせだ。
「夏場は熱中症になりやすい時期ですが、この飲み合わせは体液量減少を進ませ脱水症状を悪化させる恐れがあります。意識が朦朧としたり、転倒し骨折する場合があり要注意です」(谷本医師)
降圧剤を飲み合わせた治療にも注意したい。
「薬が効きすぎ、ふらつくリスクがあります。夏場は水分や塩分が失われ、血管も広がり血圧が下がりやすい」(谷本医師)
糖尿病治療薬と副腎皮質ホルモン(ステロイド)の併用も要注意。
「糖尿病治療薬を服用していても、ステロイドを組み合わせると血糖上昇が起こりやすくなる。ステロイドは様々な診療科で使う薬なので特に気をつけたい」(谷本医師)
体の不調を治すための薬が新たな不調を生んでは元も子もない。医師に相談のうえ、自らの服薬を適切なものに見直すことが重要となる。
※週刊ポスト2022年9月2日号