踊る津田健次郎(NHK『あなたのブツが、ここに』HPより)
武田は亜子に「お荷物はお前や」と告げ、怒った彼女が会社を去ると、「金がいる言うて始めて、思ったんとちゃう言うて辞めていく。もう、うんざりや」と、多くの苦い経験を漂わせる。
言葉が少なめでも、印象に残るのはやはりあの声の良さが大きい。津田健次郎の声の余韻が、その人物に奥行きを感じさせることがよくわかるのだ。
声優や洋画吹替として多くの名キャラクターを担当し、朝ドラ『エール』の語りでも注目された。『情報7daysニュースキャスター』のナレーション、舞台劇や映像監督や作品プロデュースも続ける多彩ぶりである。そして、この夏は、もうひとついい場面を見せてくれている。『あなたのブツが、ここに』の出演者による踊るエンディングだ。
楽曲がウルフルズの『バカサバイバー』と聞けば、そのノリはお察しいただけるはず。一話15分のドラマには、セクハラやパワハラ、偏見、亜子と母(キムラ緑子)のわだかまり、学校で嫌がらせを受ける咲妃、やるせないテーマも盛り込まれている。小さな痛みから目を背けないところが、このドラマの魅力だが、そのやるせなさを吹き飛ばすエンディングも一度見たら癖になる。そこで津田さん、バッチリ踊ってます。いいね、武田さん!