肉体派でもあるタレントとして活躍

15歳時に同級生に誘われてトレーニングジムに通い始めたチャックさん(写真は36歳時。本人提供)

 非行少年の運命が変わったのは15歳の時。高校の同級生に誘われトレーニングジム通いを始めたことで、人生が180度変わったという。

「細身の僕が、誰も持ち上げられない重さのバーベルを上げたら、周りの連中が驚いた。僕も気分がよくて、それからは放課後に毎日ジム通い。毎日3~4時間の筋トレを1年間続けると、45キロだった体重が90キロに倍増しました。それだけ大きくなれば、もういじめられません。僕にとっては、自分を救う道がそこにあった」

 筋トレは嘘をつかない。やればやるほど体が大きくなり、強くなったと感じることで、自信を取り戻した。トレーニングに一日の大半を割くようになると、不良仲間と付き合うこともなくなった。こうして彼は、「弱虫チャック」と決別したのだ。

 体が出来てくると筋トレだけでは物足りなくなり、町道場に通って柔道や空手、合気道やレスリングなど、あらゆる武術や格闘技を学んだ。そこで知ったのが、極東にある「日本」という不思議な国の存在だった。

「柔道家の嘉納治五郎師範や三船久蔵十段の本を読み、日本という国に興味を持ちました。貧弱な体ながら、武術を学び心身を鍛えた2人の先生の生き様と、自分を重ねたんです」

 その後、チャックさんはボストン大学に進学。大学時代に徴集された空軍の柔道競技で10連勝し、柔道の全米選手権では準優勝を果たした。そして除隊後の1970年、同志社大学の柔道留学生として、憧れの国である日本にやってきた。

「来日後は京都に3年間いました。でも、柔道の練習で骨折して3年目はほとんど病院生活。その時にケガをしないためのトレーニング法を考えたことが後の人生で役に立ちました。その後、全日本パワーリフティング大会にオープン参加して、チャンピオンになりました」

 のちに東京のスポーツジムの共同経営者となり、会員の広告マンから誘われて1983年から『世界まるごとHOWマッチ』に出演した。そこからお茶の間でおなじみとなる「チャック・ウィルソン」としてのストーリーが始まった(インタビュー第1回参照)。

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