「あれは、家の中に入ってきてしまったときのための対処法です(笑い)。『一寸の虫にも五分の魂』ということわざがありますけど、小さな命でも無下にできません。家の中に虫が出ても、絶対に生かしたまま外に逃がしています‥‥あの黒光りして素早いのはちょっと例外ですけど、でもわが家では、ゴキブリのことを“先輩”って呼んでるんです。人間よりずっと前から、この地球で暮らしてるんですからね」
大好きな昆虫の存在が、日々の生活にハリを与えている。
「食事の時間や、買い物や掃除とか、常に家族に合わせて動くことが、どうしても世のお母さんたちにはあると思うんです。自分の感情を後回しとか、自分の体調は後回しみたいな。夫は家事にも育児にも協力的で、とても支えてもらいましたけど、それでもやっぱり“今日は子供としか会話していない”っていうような日もありました。
だからこそ、娘たちが成長してそれなりに手を離れた今、自分を取り戻せたり、童心に帰れる時間があるっていうのは、とても大事だなあと思いますね。私の場合は、それが昆虫でした」
虫好きが高じて、9月3日からスタートする新番組『荻野目洋子の虫はともだち』(J:COM、土曜日13:00~)ではMCを務める。
「先日は鳥取県、今度は埼玉県に虫探しに行くんですよ。毎月ロケに行けるのが楽しみです。目標はズバリ新種発見! どんな虫と出会えるか、いまから待ち遠しいです」
取材・文/伏見友里 撮影/北村崇 ヘアメイク/福沢京子