国内

【沖縄自民と旧統一教会】知事選の勝敗決定に「5割前後の比重を占めていた」との指摘

落選の弁を述べる佐喜眞淳氏(撮影/横田増生氏)

落選の弁を述べる佐喜眞淳氏(撮影/横田増生氏)

 旧統一教会の政界汚染はどこまで広がっているのか。最南端・沖縄がその“最前線”となっている実態を、ユニクロなどへの潜入取材で知られるジャーナリスト・横田増生氏が掴んだ。(文中敬称略)【全3回の第1回】

 * * *
「ゼロ打ち」だった。

 開票時間が始まる午後8時になった瞬間、NHKが現職の玉城デニーに当選確実を打った。自民党と公明党が推薦した佐喜眞淳の敗北が確定した瞬間だった。

 佐喜眞の選対事務局長が、「NHKが今、現職知事の当確を打ちました」と報告すると、集まった自民党議員や支援者からは、ため息が漏れた。

「ゼロ打ち」から時を移さず、記者会見場に姿を現した佐喜眞は、

「全ては私の力不足。改めておわびを申し上げたい」

 と短く語ると、一言でも多く敗戦の弁を取りたいと待ち受けるマスコミを避けるようにして、会見場を後にした。記者団から逃げる後ろ姿を見て、18日間の選挙戦で見てきた佐喜眞らしいな、と思いながら、私は見送った。

 玉城の得票は約34万票、佐喜眞は27.5万票と大差のついた選挙結果となった。普天間基地の移転問題や経済振興、福祉の充実などが主要テーマとして選挙戦が戦われた。しかし、もう一つ大きなテーマが隠されていたと言うのは、沖縄国際大学教授の前泊博盛である。

「統一教会の問題が、今回の知事選における勝敗を決めるのに5割前後の比重を占めていた、と考えている。7月下旬に、佐喜眞氏と統一教会に関する報道が出始めた時、自民党本部は相当な危機感を抱いていた。選挙戦直前にもかかわらず、佐喜眞氏を降ろす、という怪情報まで流れたほどだ。佐喜眞氏は、政策論争に入る前に、統一教会の問題の経緯を十分に説明し、謝罪するなり、今後は関係を絶つなりの明確な姿勢を打ち出すことが必要だったが、それができなかったため今回の敗北につながった」

 佐喜眞は2019年9月、旧統一教会の関連団体である「平和大使協議会」が台湾で開いた「既成祝福」という既婚者夫婦が再度、結婚式を挙げるというイベントに参加したり、2020年2月にも別の関連団体である「天宙平和連合」が韓国で開いた「ワールドサミット2020」に出席したことなどを含め、その抜き差しならない関係が選挙戦直前から相次いで表面化していた。

 佐喜眞は当初、旧統一教会問題については答える必要がない、という強硬な姿勢を見せた。しかし、厳しい世論や支持母体からの反発を受け、7月下旬になり「旧統一教会という認識はなかった」という声明文の発表に追い込まれた。

 だが、佐喜眞のこの声明文がどこまで本気だったのかと疑うのは、沖縄県在住のジャーナリストである大袈裟太郎だ。

「佐喜眞さんは8月に入って出馬を表明するのですが、会見を行なう佐喜眞さんの後方に、自民党の元県議の西田健次郎さんが写っている写真を見つけました。統一教会系団体の平和大使協議会で議長を務めていて、沖縄の自民党内では統一教会と最も関係が深いと言われている人です。その人を後ろに座らせて出馬表明をする様子は、今後も、統一教会との関係を続けていくという意思表示にも見えました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
反論を続ける中居正広氏に“体調不良説” 関係者が「確認事項などで連絡してもなかなか反応が得られない」と明かす
週刊ポスト
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
「全てを話せば当然、有罪となっていたでしょう」不起訴になった大物地面師が55億円詐欺「積水ハウス事件」の裏側を告白 浮かび上がった“本当の黒幕”の存在
週刊ポスト
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
「お笑い米軍基地」が挑んだ新作コント「シュウダン・ジケツ」(撮影/西野嘉憲)
沖縄のコント集団「お笑い米軍基地」が戦後80年で世に問うた新作コント「シュウダン・ジケツ」にかける思い 主宰・まーちゃんが語る「戦争にツッコミを入れないと」
NEWSポストセブン
神谷宗幣氏(写真中央)が率いる参政党は参院選で大躍進した。東京選挙区でも塩入清香氏(右)が当選(2025年8月写真撮影:小川裕夫)
《午前8時の”異変”》躍進した「参政党」、選挙中に激しい応酬のあった支持者と反対派はどこへ?参院選後の初登院の様子をレポート
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト