六代目山口組の司忍組長は現在80歳。写真は2011年(時事通信フォト)
日本の高齢化問題が暴力団にも
神戸山口組に限らず、暴力団組織の組長は高齢者が多い。六代目山口組組長の司忍は今年80歳になり、若頭の高山清司は75才だという。その年齢からか、引退についての噂は事あるごとに流れてくる。
「2021年末には組長の司が引退し、高山が七代目にという怪文書が流されたし、七代目にいつ政権移譲されるのか、という記事を見ることもある。だが神戸山口組がなくならない限り、六代目が引退することはないだろう」(元組長)
組織犯罪対策が専門の元刑事も「そういうガセ情報が流れるのは、年齢的な問題もあるだろう。政界や経済界なら、80歳も越えれば老害と言われるような年齢だからな。だが六代目としては自分の代で分裂してしまった組織を認めることはできない。神戸山口組がある限り、いくつになろうが引退することはないだろう。分裂抗争の決着はまだ見えないが、組長らの引退がささやかれるくらいだ。高齢者が増えてきたということだ」と話す。
元組長も「六代目山口組では、舎弟や幹部になっている組長らも高齢な者が多い。ほとんどが60代や70代で50代は一握りだ。高齢者が多いこともあって、コロナのワクチン接種が始まった頃は、組の者がワクチンを接種したかどうか確認するよう電話で通達がきたという話を聞いたほどだ」と語る。
高齢化はどこの組織でも問題になっているようだ。上が詰まっていては、下の者は上に上がることができない。さらに暴力団対策法や暴力団排除条例により、銀行口座が作れない、携帯電話の購入契約ができないなど暴力団員の生活は制限されることが多い。組としての決まりやルールも厳しいため、組員になりたがる若者は激減している。その上、コロナ渦でシノギが減少したとなれば、高齢の組長の中には引退を考えている者も少なからずいるという。
「やめられるならやめたいと思っている組長はいるだろう。だが六代目山口組は、まだ対立抗争中だ。歳を取ったからといって、おいそれと簡単には引退できない。六代目がいるのに、盃をもらった自分たちが先に引退するなどとは言えないだろう」(元組長)
生き残りをかけて闘うのは、抗争だけではないようだ。