9月24日、ニューヨーク郊外で子供向けの野球教室を行い、フリー打撃を披露した松井秀喜氏(時事通信フォト)

9月24日、ニューヨーク郊外で子供向けの野球教室を行い、フリー打撃を披露した松井秀喜氏(時事通信フォト)

松井秀喜氏が明かしていた巨人への思い

 星稜高校の超大物スラッガーとして注目を集めた松井氏は1992年のドラフトで4球団競合の末、長嶋茂雄監督がくじを引き当て、巨人に入団。ミスターとの二人三脚で主砲へ成長していき、MVP3回、首位打者1回、本塁打王3回、打点王3回を獲得。チームを4度の優勝、3度の日本一に導いた。押しも押されもせぬ球界の4番は、2002年オフにメジャー挑戦を表明。「今は何を言っても“裏切り者”と思われるかもしれませんが、いつか“松井は行ってよかったな”と思ってもらえるような気持ちを持って頑張ります」という言葉を残し、ニューヨーク・ヤンキースにFA移籍。2009年にはアジア人初のワールドシリーズMVPに輝いた。

 松井が引退した直後には、当時の球団会長だった渡辺恒雄氏が「原君のあとをね、多少コーチなどもやってもらうけども、いずれ大監督になってもらいたい。それはみんな望んでることだ。おそらく野球ファン全部が望んでるんじゃないかね」と発言していた。

「実際、ファンの間でも『松井秀喜監督が見たい!』という声は根強い。人気が低迷し、坂本のスキャンダルでイメージも悪くなっている巨人にとって、松井氏が監督になれば諸々の問題は良い方向に向かっていく。本人にやる気さえあれば、球団は今すぐにでも就任を要請したいはず。しかし、松井氏の子供もまだ小さいですし、日本にわざわざ単身赴任して『ジャイアンツのために身を捧げる』とはならないでしょう」

 松井氏には巨人への複雑な思いもある。メジャー3年目の2005年出版の単行本『ヒデキマツイ』(朝田武蔵著、日本経済新聞社)でのインタビューで本音を明かしている。

〈ジャイアンツは読売新聞の広告塔に過ぎないんじゃないですか。初めてそう思ったのは、僕が日本にいた最後の年です。ジャイアンツのユニホームは、ホーム用はジャイアンツ、ビジター用は東京です。伝統あるユニホームですよ。最後の年、それが読売になった。あれはがっかりしましたね。六十何年という日本で最も歴史のあるチームなわけでしょ。そのユニホームを変えちゃうということには、すごいショックを受けました〉

 巨人からヤンキースへのFA移籍について、父親が読売に抱いた不信感も語っている。

〈僕は分かんないんだけど……。確かなことじゃないんだけど……。親父がそう思ってるだけかもしれないけど……。松井秀喜を読売の支配下においてヤンキースに行かしたいというような話ですよ。早い話が、首に縄つけてやらしておきたい。なんかあったらビッと引いておきたいと。ヤンキースとジャイアンツは提携してますから、読売の方からいろいろ手を回したりしたんじゃないか、と親父は思ってるんです〉

「巨人在籍の終盤やメジャー時代に松井がジャイアンツに疑問を持っていたことは確かでしょう。しかし、だからこそ今のジャイアンツを改革できるという見方もできます。あれから時は過ぎている。球団が熱意を持って口説けば、監督就任に心が傾くこともあるかもしれない。もし実現すれば、巨人ファンだけでなく、野球ファン全体が喜ぶでしょう。巨人は今のままでは、数年もすれば“人気球団”という看板を掲げられなくなるかもしれない。そのくらいの危機感を持って、根本的な改革に臨むべきだと思います」

 松井秀喜監督就任を心待ちにしているファンは少なくないが、はたして実現する可能性はあるのか──。(了)

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