保護施設でくつろぐ保護犬(イメージ、Ukrinform/時事通信フォト)

保護施設でくつろぐ保護犬(イメージ、Ukrinform/時事通信フォト)

「先ほどおっしゃっていた盲導犬協会とかアイメイトとか、メジャーで実績のある団体は規模が大きいですし、寄付も信用があるから集まりますが、小さな団体やマイナーな団体は犬を使って興味をひくしかない事情もあります。もちろん、悪質な団体はそれを代表の生活費にするんですけどね」

 そうした団体は一部だろう、しかし確実に存在する。事あるごとに警察沙汰にもなるがグレー判定であることが多い。何しろ日本には募金詐欺そのものを取り締まる法律がない。詐欺罪(10年以下の懲役)で扱うことになるが詐欺罪には罰金刑がない。街頭募金は基本、不特定多数から募るため被害者の特定および示談も難しい。そもそも詐欺罪の刑事告訴、公訴はハードルが高い。小さな団体や個人の募金活動のようなある種の「寸借詐欺」レベルとなると法的には詐欺罪でも、立証も含め現実的に刑事裁判で起訴というのは難しいのが現実だ。これは拙筆『そのクラウドファンディングは「ネット乞食」か 軽犯罪法「こじき罪」から考察してみた』と同様の問題である。もちろん近年の迷惑防止条例には地域にもよるが「たかり」行為に対する罰則がある。だから以前のような露骨なつきまといはせず、犬を連れて募金箱と看板を置いてスマホをいじっているというわけだ(何度も書くが、そのすべてがそうとは限らない)。

 旧知の獣医師からの話、彼は実際にグレーな保護団体から依頼を受けて断っている。

「保護犬活動をしているとのことでしたお断りしました。悪質なブリーダーから引き取って、また劣悪な環境に置くような団体でした。もちろん関係各所に通報しましたが、注意だけですね。こんな団体はいくらでもあります。そこも街頭募金をしていましたが、あとで警察の担当者に聞くと道路使用許可は取っていたようで、環境が不十分なだけで虐待とまでは言えないので注意のみ、こうなるとあとはモラルの問題、としか言いようがなくなります」

 道路使用許可、施設使用許可さえ取れば募金活動そのものは自由である。許可証もないのは言語道断で警察に通報して構わないが、許可証があるから安心な団体、とも限らない。かわいそうな犬を道具にして金を募る、あえてかわいそうな状態にして金を募る、実際に神奈川県の団体のように事件化したものもあれば、先に書いた通り募金詐欺に対する注意喚起もなされている。

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