ホームレスとともに街頭で活動する犬たち(イメージ、dpa/時事通信フォト)
筆者はある動物保護団体で職員をしていた女性に話を聞くことができた。経緯は端折るが、関東を中心に駅周辺の動物募金活動の実態を探る中、ようやく協力していただけた「元関係者」である。まず、犬を募金活動に連れ出す意味はあるのか。
「実物の犬は重要です。犬を連れているときとそうでないときの募金の集まりは全然違います。犬がいないとほぼお金は集まりません。やはり注目度が違いますし、かわいい、かわいそうと人も近寄ってくれますから」
これは昔の話だが、あえてボロボロの犬を連れていわゆる「物乞い」をするホームレスがいた。犬に対する同情を集めてお金をいただくという寸法である。もう歴史の話となるが、さらに古くはボロボロの子どもを使って物乞いをした。もちろん、いずれも現代の日本では軽犯罪法違反、いわゆる「こじき罪」にあたる。哀れみに訴え、自身の利益を目的にこじきをする、またはこじきをさせる行為は犯罪である。また「児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為」は児童福祉法(第三十四条)にも抵触する。
「だから募金のお願いはしても、しつこくつきまとって『この子かわいそうでしょう?』とか、そういうのは駄目です。さすがにうちでも禁止されてました。実際は警察が来ても『言った言わない』の話ですけど」
「かわいそう商法」なんです
筆者も経験がある。以前、高齢女性が犬を連れて募金活動をしていたが、半ば強引に「可哀想な犬を助けて頂戴」と通りすがりの目をつけたであろう通行人に募金をお願いではなく「乞うて」いた。ここまで露骨なものは最近見ないが、実際に犬がその場にいることは強いアピールになるのだろう。もちろん真っ当な盲導犬の募金活動などのように、実際に盲導犬を理解してもらうために時間を決めて、短い間ながら犬たちに募金の協力をしてもらう場合もあるので、一概にすべてが駄目とは言わないが、悪質とされる募金はそうではない。