盲導犬や補助犬を育成すると称した街頭での募金活動には、素性が不明な団体を名乗るものもある(イメージ、EPA=時事)

盲導犬や補助犬を育成すると称した街頭での募金活動には、素性が不明な団体を名乗るものもある(イメージ、EPA=時事)

 こうしたぞんざいに犬を使った募金活動、筆者はとてもおかしな行為だと思う。酷暑の中、あるいは極寒の中、一日中犬を使って街頭募金を呼びかける。言い方が難しいが、明らかに募金番でしかないであろう人物がただ座っていたりする。酷いと道路許可証や私有施設の使用許可も取っていない。

 もういいだろう。はっきり言う、かわいそうな犬を使って募金詐欺をしている連中がいる。動物のためと言いながら、そのかわいそうを作り出し、金儲けの道具にしている連中がいる。それもあなたの駅の日常、「かわいい」と声を上げたかもしれない、犬たちのことである。

犬がいないとお金が集まりません

 こうした連中に対して、公益財団法人「日本補助犬協会」は2019年に公式ホームページ上ではっきりと声明を出している。

〈最近、日本補助犬協会の名前を騙った街頭募金活動が行われています。こちらに問い合わせがあったものは、神奈川県の横須賀中央駅前、埼玉県川越市内等で行っているというものです。いずれもゴールデン・レトリーバーを連れています。今後、当協会が街頭募金活動を行う際には、事前にフェイスブック及びホームページで日時と場所を告知いたします。このようなサギまがいの募金活動をなくすため、街頭募金に協力する際には、配布している資料の確認や、募金活動を行っているスタッフに話しかけ、募金の使途や活動についてしっかり説明できるかの確認をお願いします。皆様の善意が悪用されることがないようにしていきたいと思います〉

 また公益財団法人「日本盲導犬協会」も「悪質な募金活動」と題して声明を出している。

〈皆さんの善意を利用して「盲導犬・介助犬・聴導犬などの育成のため」として悪質な募金活動を行っている団体が全国各地に出没しています。疑問に思われる街頭募金を見かけましたら、「募金の目的は何か」「このお金はどこに寄付されるのか」などをお聞きになり、納得していただいた上で募金をお願いします〉

 まず動物募金の中でも明確に詐欺でないと判断できるものはこの2団体はもちろん、例えば公益財団法人「アイメイト協会」や公益財団法人「日本動物愛護協会」、公益財団法人「日本アニマルトラスト」、公益財団法人「動物環境・福祉協会Eva」などだろうか(その他、多くあるが割愛)。また公益財団法人でなくとも各都道府県の傘下団体や国家公安委員会の指定を受けた育成団体、全国盲導犬施設連合会およびその加盟団体なども信頼できる組織とされる。公益財団(社団)法人の認定は非常に厳しく、一般財団(社団)法人としての実績を積んだ後に国から公益性を認められなければならない。多くは歴史や実績があり、ぞんざいな募金活動などまずしない。しかしこうした信用ある団体と似た名称を騙る、匂わせるなどで悪質な募金活動をする団体もあるのでやっかいだ。

 日本盲導犬協会はこのような注意喚起もしている。

〈盲導犬普及活動と称して、盲導犬の名前を商売に利用しているグループがあります。「日本盲導犬普及会,盲導犬普及ボランティアグループ」という団体(?)は、当協会と同色(薄いグリーン)の封筒で品物を送りつけて「盲導犬普及のために」と購入を促す送りつけ行為(ネガティブオプション)を行ったり、また、「盲導犬の子犬」と称してラブラドール・レトリバーなどの生体の販売を行っているグループもあります。盲導犬育成という名目で布巾などを訪問販売するという例も確認されています〉

 とのことで、悪質な団体は確実に存在する。昔は個人で盲導犬ではないラブラドール・レトリバーを連れて小遣い稼ぎのために盲導犬募金詐欺をする輩がいた。公益財団法人でなくとも一般社団(財団)法人やNPO法人、任意団体で誠実に活動している団体・個人がほとんどなのは大前提だが動物団体も玉石混交、神奈川県で活発に犬を連れた募金活動を続けていた一般社団法人の動物保護団体が2022年5月に家宅捜査を受け、警察は団体と代表者の男が書類送検された。直接の罪状は動物愛護法違反(虐待)だが、こうした団体の中にはあえてシニア犬や皮膚病など目に見える疾患の犬を使って同情を誘う手口で募金活動をしているケースもある。

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