清原の「執念」が勝った
名勝負は「平成」の時代に入っても数多あるが、印象深いのは1994年の巨人対西武だろう。
この年、セ・リーグでは巨人が史上初の最終戦同率対決で中日との「10・8決戦」を制し、日本シリーズへ。西武と4年ぶりに相まみえた。PL学園の同級生同士の「KK対決」である。
「セ・リーグMVPの桑田真澄、黄金期の西武を支える“不動の4番”清原和博の対戦が注目され、桑田は3試合に登板して第5戦で完投勝利を挙げたが、清原に第1戦で先制ソロ、第5戦でバックスクリーンに2打席連続アーチを浴びた。この年は清原に軍配が上がった」(スポーツ紙デスク)
当時巨人に在籍し、2人の対決を見守ったPL学園の後輩・橋本清は2人と親しい関係ゆえに「複雑な心境」だった。
「第5戦の対決はブルペンで見ていましたが、しびれました。ドラフトもPLの後輩として傍で見ていたので、2人の微妙な関係はわかっていましたからね。チームとしては桑田さんに勝ってもらわないといけないし、PL時代に同部屋でお世話になった清原さんにも打ってもらいたい。
複雑な気持ちでしたが、自分が同じユニフォームを着ているのを忘れて、単なるファンとして見守っていました。2打席連続ホームランは明らかに清原さんの力が勝っていた。清原さんのライバル心のほうが少し強かったということではないか」
やはりプロ野球は「宿命のライバル」がいるからこそドラマが生まれる。最高の打者・村上と最強の投手・山本の対決も、プロ野球の歴史に残る新たな名勝負となるか。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2022年11月4日号