「チャイニーズドラゴン」の乱闘事件が起きた池袋のサンシャイン60(写真/共同通信社)
地下に潜る
ドラゴンは2013年に警察庁から「準暴力団」(暴力団に準ずる反社会的勢力)に指定されており、実態解明と取り締まり強化の対象になっている。だが、今回の池袋での乱闘事件が示すように、準暴力団指定はドラゴンにとってさほど痛手にはなっていない。
『怒羅権(Dragon) 新宿歌舞伎町マフィア最新ファイル』(文春文庫)の著者でジャーナリストの小野登志郎氏が語る。
「現在のドラゴンは固い結束力を持ちつつ、緩やかな繋がりのなかで活動している集団なので、警察はメンバーの把握すら難しいのが現状です。高級クラブのオーナーをやっている者もいますし、商才に長けた者は中国に一時的に渡り、そこで財を成して日本に戻ってくるケースもある。経済力があり、地下に潜ろうと思えばいつでもできる。
近年はベトナムマフィアなど東南アジア系の反社会勢力と距離を縮めるメンバーもおり、実態の解明が遠のくばかりです。警察が壊滅させることは難しいでしょう」
そもそも準暴力団指定は暴力団対策法や都道府県の暴排条例と違い、メンバーへの法的な拘束力を持たない。
現在、特定抗争指定暴力団となっている山口組は警察が指定した警戒区域内で組員が5人以上集まることすら禁止されている一方、ドラゴンは平然とパーティを開けるのだ。
「結局のところ、犯罪が起きない限り警察はドラゴンを捜査できないのです」(鈴木氏)
人を食い殺す龍が、首輪も鎖もなく野放しになっている。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2022年11月4日号