「自傷行為」まで
最近の添付文書の改訂で目立つのが、「抗がん薬」の新たな副作用だ。本庶佑氏がノーベル生理学・医学賞を受賞した免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボにも、ぶどう膜炎(眼球のぶどう膜に起こる炎症。失明の危険がある)が追加された。
多くの人に馴染みのある造影剤(イオパミロンなど)にも注意が必要だ。
「造影剤はMRIやCTなどの検査でも使われるもので、高齢の方の使用機会も多くあります。副作用としてアレルギーを起こしやすいのですが、今回追加された急性冠症候群はその影響が心臓に及び、血管が詰まる病態です。過去にアレルギー反応を起こしたことがある人は必ず検査前の申告が必要です」(同前)
驚くのは睡眠薬として広く使われるマイスリー錠に追加された〈死亡を含む重篤な自傷・他傷行為、事故等〉だ。
「睡眠薬で転倒やふらつきの副作用があるのは知られていますが、今回追加されたのは、人が変わってしまうような精神系副作用です。しかし、睡眠薬は脳や神経に作用する薬なので、医療関係者からすれば驚きはない。興奮しやすくなり、暴れたりするなどは精神系に作用する薬の多くで知られています。だからこそ乱用しないよう細心の注意が必要なのです」(同前)
違和感を見逃さず、医師とのコミュニケーションを密にすることが肝要だ。
※週刊ポスト2022年11月11日号