2005年3月6日、国内初の磁気浮上式リニアモーターカー(愛称リニモ)が開業し愛知県長久手町の万博会場駅には多数の人が訪れた(時事通信フォト
愛・地球博記念公園では、2005年に日本国際博覧会(愛知万博)が開催された。愛知万博の会期は2005年3月25日から同年9月25日までの約半年間で、会場も長久手の愛知青少年公園跡地(愛・地球博記念公園)のほか近隣の豊田市・瀬戸市にまたがる第2会場もあった。つまり、来場者の分散が図られていた。
それでも万博開催時は藤が丘駅に来場者が溢れた。東山線からリニモへと乗り継ぐには、藤が丘駅で1時間以上も待つ事態が発生。この原因は東山線とリニモの輸送力の差によって生じた混雑で、これが藤が丘駅問題と呼ばれた
藤が丘駅問題は万博だけの一時的な現象のため、まだ利用者も甘受できたかもしれない。しかし、ジブリパークは一時的なイベントではない。常設のテーマパークだ。
東山線は6両編成で運行されている。対して、リニモの運行は3両編成。これだけでも輸送力に大きな差がある。くわえて、運転本数は東山線が平日の朝ラッシュ時が約2分間隔、昼間でも約6分間隔。リニモは平日の朝ラッシュ時が約6分間隔、昼間は約8分間隔となっている。両者の輸送力は大きく異なるので、藤が丘駅問題が常態化してしまいかねない。
「ジブリパークは1日の入場者数を制限していますので、愛知万博のような混雑は起きないと考えています。現段階ではジブリパークが開園した11月1日から、リニモは臨時ダイヤへと切り替えて運行しています。今後は、様子を見て判断することになると思います」(同)
藤が丘駅で乗客の積み残しが発生してしまうことも問題だが、混雑が激しくなれば10月29日に韓国・梨泰院で起きたような大惨事につながる事故も誘発する。
オープン初日となった11月1日は、好天とは言えない天気だった。そのため、幸いなことに目立った混乱はなかった。オープンから初めての祝日となった11月3日も盛況だったが、大きな問題は起きていない。それでも、まだ安心するのは早い。
「ジブリパークへのアクセスは直通バスなどもあります。リニモはこれ以上の増便を予定しておりません」(同)
直通バスは名古屋駅や中部国際空港と瀬戸駅から運行されている。ジブリパークという新たな観光名所が誕生したことで、藤が丘駅問題が再燃したかのように見えるが、実のところ話はそう単純ではない。