2011年に盗塁王を獲得した藤村大介も28歳で引退(時事通信フォト)
森友哉獲得なら大城と小林の出番が減ることは確実
原監督の第2次政権時代には松本哲也、藤村大介、橋本到などの生え抜き選手が台頭した時期があった。しかし、その活躍は長続きしなかった。
「藤村は2011年に盗塁王まで取りましたし、長年の課題であった二塁手が固定されるかと思われました。しかし、2013年に不調に陥ると、翌年はFAで西武から来た片岡治大がセカンドに座った。2015年には1軍出場がなくなり、翌々年に28歳で引退しています。
もちろんチャンスをもらった時に結果を残さなければ生き残れないのが、プロの世界の厳しさです。ただ、巨人でなければ『すぐ代えられる』というプレッシャーが少なく、もっと活躍できたかもしれません。常勝を目指す巨人では、藤村のようなドラフト1位選手でも、我慢して使うという起用法はあまり見られない。
昨年、規定打席に到達した松原聖弥は今年、打率1割台の絶不調に終わった。状況に応じたバッティングなど本人にも課題があると思います。ただ、せっかくレギュラーをつかんだのにポランコ、ウォーカーという外国人が来たら、気持ちは焦るでしょう。とにかくヒットを打って結果を残せなきゃいけないと考え、焦りが打撃を崩すという悪循環もあったのではないでしょうか」
この30年、巨人の生え抜きの高卒野手で長年レギュラーを張ったのは松井秀喜、坂本勇人、岡本和真という3人のドラフト1位しかいない。
「この3選手はどの球団に入っていても活躍できたと思います。それよりも、FAや外国人補強のために埋もれてしまった逸材がたくさんいた可能性に目を向けるべきでしょう。FA選手や外国人の活躍で優勝をしてきたことも事実です。しかし、ともに何年も主力を任せられない。今年のヤクルトやオリックスのように、生え抜きが主力になると黄金時代を迎えられる。巨人はFAに頼って優勝してきたので、FA選手が衰えたら新たなFA選手を獲得することで問題を解消してきた。しかし、多くの選手が巨人に憧れて移籍する時代は既に終わっています」